ろくろ首他
1:小林◆YAKUMOZcw. 02/24(月) 19:11 aA9cS1+A0AA
【出版依頼】
【著者】ラフカディオ・ハーン
【翻訳者】小林幸治
【予定価格】100円
自分で出版するので、厳密には依頼では有りませんが、スレ立てサンプルとして
収録予定は「ろくろ首」「青柳の話」「安芸乃助の夢」は決定してます。
「虫の研究」を収録するかどうかは何とも言えません。

表紙にする「ろくろ首」の画像も募集します。
謝礼は表紙2000円、それ以外は1000円です
このスレッドへの画像投稿でお願いします。

表紙は横800ピクセル縦1200ピクセルにしますので、
それに近いサイズにして、文字を入れるスペース
も意識しつつお願いします。

採用の場合はレスをしますので、メールで送金方法と電子書籍に収録する時の
名前を連絡して下さい。
送金は銀行振り込みまたはAmazonギフトを考えています。
謝礼放棄の場合もこっそりメールして下さい。
88:小林◆YAKUMOZcw. 07/21(月) 23:02 VZq33DS50AA
 進化論者には、こういった真実は必ず示すが、それは我々の道徳的
理想主義の価値は一時的なものでしかなく、美徳よりも、優しさよりも、
自制よりも──この表現で現在の人間が意味付ける──良い何かは、
確実な条件の元では、いずれそれに取って換わるかもしれない。どちらに
しろ彼は道徳の概念の無い世界は、そうした概念によって素行が規制
された世界より道徳的には良くないかもしれないという疑問に直面せざる
を得ないと自身で気が付く。彼はさらに我々自身を取り巻く宗教的な戒律
と道徳規定と倫理基準が、我々はまだ社会的進化の非常に原始的な
段階にあるのではないと証明するのかどうか自問するはずだ。そして
この疑問は自然に別の方へと向かう。人類は常に有能だろうか、この
惑星上で、倫理の状態の彼方のその理想の全てへ到達するために──
我々が現在悪と呼ぶことごとくが存在から衰退していき、我々が美徳と
呼ぶことごとくが本能へと変換していく状態における──倫理の概念と
規定がそれと同じように不要となっているであろう利他主義の状態は、
現在でさえ、より高度な蟻の社会に存在する。
89:小林◆YAKUMOZcw. 07/30(水) 21:28 8E1rVpKj0AA
 近代思想の巨人達はこの疑問にいくつかの注釈を与えたが、中でも
最も偉大な者がこれに答えた──部分的な肯定だが。人類は倫理的に
蟻のそれに匹敵する文明のいくつかの状態に到達するだろうとハーバート・
スペンサー氏は確信を明言した──
「もしも我々が、生物の下層階級の中で、利他的活動が自分本意の活動の
ひとつとなるように、自然が体質的に大きく修正した場合、対応する条件の
元で一致の確認が人類の間で生じるだろうという避けられない意味を含む。
社会的な虫は最先端の実例を我々に提供する──そして実例を見せる、
実際に、それは個体の生活が驚くべきほどに、別の個体達の生活に役立つ
ことに没頭しているようだ……蟻や蜂のどちらも、我々がその言葉に与える
意味において、義務の感覚を持つとは想像できず、自己犠牲の継続的な経験
も、通常の言葉の意味としては想像できない……[真実]には要求を生む組織体
の可能性が含まれているよう我々には見える。まさしく活発な利他的な目的
の遂行が、別の場合には利己的な目的の遂行と変わらなく見えるだろう──
そんな場合はこう見える。利他的な目的は異なる側面の目的から追求されるが、
それは利己的にだ。組織体の要求を満たすために、他者の福祉に貢献する
この活動は継続されるに違いない……
……………………………………
「これまでのところ、それが真実であるから未来の全てにおいて継続されるはずだ。
利己心が他者への配慮に断続的に服従する、それは他者への配慮が最終的に
非常に大きな喜びの元となる場合から、予想に反して、その喜びが直接的な自分
本意の満足から広範囲に広がると推論できる……やがては、さらに利己主義と
利他主義が大きく融和し、一方が他方に溶け込む状態がやって来るだろう。」
90:小林◆YAKUMOZcw. 07/30(水) 21:32 8E1rVpKj0AA
五節目が終了しました。

残すところ、六節、七節です。
七節目は非常に短いですが、六節目が長くて踏ん張りどころです。
プロの翻訳と比較すると、文章の稚拙さは置いといて意味が違う
部分が有るので、原文と比較して納得できたら修正という場合が
有りそうです。
91:小林◆YAKUMOZcw. 08/09(土) 13:12 x7xOr+De0AA
六節目を始める前に>>81に有る
「蝉のメス」を「半女性」に変更
92:小林◆YAKUMOZcw. 08/09(土) 13:15 x7xOr+De0AA



 当然ながら、前述の予言は人間の本質が、この様々な階級に分化する
昆虫社会と同等の構造的な専門化が示すほどの生理的変化を、いずれは
経験するだろうとほのめかしている訳ではない。我々は、人間らしさが積極性
の大半を働かない少数派の選ばれし母親達に捧げる半女性から成る労働者
達やアマゾネス苦役となる将来を、思い描くよう要求してはいない。「未来の
人口」の章においてさえ、スペンサー氏は、より高度な道徳を産み出すための
肉体の改変の必然を詳細に述べるような試みはしていない──記述全般が
彼の徹底的な神経系や人間の繁殖力の大きな低下への考察であるにも
かかわらず、そのような道徳的進化は、生理的な変更に達するのはまったく
無視できない意味を持つだろうと連想させる。相互の善行の喜びが生活の
楽しみを代表する未来の人間性を信じるのが正しいとするなら、昆虫生物学が
証明した進化論的可能性の及ぶ範囲になる真実の生理的、道徳的な異なる
形質変化を推測するのも正しくはないのだろうか?……私にはわからない。
私はこの世界に今まで現れた最大の哲学者としてハーバート・スペンサー氏を
最も敬虔に尊敬するが、とても賢明な読書が総合哲学に触発されて推測
できた彼の教えを、何か反対に書き留めていたら非常に申し訳ない気持ちに
なるだろう。後に続く非難は私ひとりの責任であり、もし間違っているのなら
私自身の頭の罪としてほしい。
93:小林◆YAKUMOZcw. 10/27(月) 19:25 Duy6Qf+M0 [sage]AA
 スペンサー氏に予測された道徳的形質変化は生理学的
変化と恐ろしい代償の助けを借りてのみ作用できると思う。
この倫理的条件は昆虫社会でできる何百万年かけてほとんど
の残酷な必然性に逆らい必死の努力を継続して到達した
状態に顕著だ。残酷に等しい必要性は人類が見い出すべきで、
いずれは修得するかもしれない。スペンサー氏は、人間が
受け入れられる苦痛の最大の時はまだ来ておらず、それは
人口の圧力が受け入れられる最大の時代に付属するだろうと
示してくれた。長期の圧迫の異なる結果の間に、人間の知能と
共感の膨大な増加があるが、この知能の増加は人間の繁殖を
犠牲にした上で成り立つだろうと私は解釈した。だが、この繁殖力
の減衰は、非常に高度な社会的状態を納得させるのに十分
ではなく、それは人間の苦悩の主要因であった人口の圧力を
解消するだけだ、と言われてきた。完璧な社会の均衡状態は
近づくだろうが、決して人類が完全に到達することは無いだろう
──経済上の諸問題を解消するいくつかの手法が発見され
なければ、ちょうど社会的な虫が性生活の抑制によって解消
したように。
 もしこのような発見が成されるならば、人類は大部分の若い
性の発育を阻止する決定をした方が良い──この力の移動に
よる効果のような、今要求された性生活による高度な活動の
発展は──あの蟻のように、多様性に富んだ状態を最終的な
結果とできないだろうか。かつ、そのような事件で、そのより
高い種において──男らしさより、むしろ女らしさの進化を
通して──どちらの性別でもない生き物の大多数が、実際に
次の人種を代表しないのだろうか。
94:小林◆YAKUMOZcw. 10/27(月) 19:26 Duy6Qf+M0AA
 現在でさえ、どれだけ多くの者が単なる利他的な動機(宗教
はいうまでも無い)から、自身に独身主義の宣告をし、より高度
に進化した人間愛が公共の福祉のため、特別優位な利益になる
のが確実に展望されるなら、気持ちよく性生活の大きな比率を
犠牲にするだろうとは、容易に信じられないとは見えないに
違いない。少なくともこのような利点は──人類が蟻の天性の
方法の後を追って、いつでも性生活を管理できるなら──寿命
の莫大な増加とはならないだろう。性を超越した高度な人間性
の形は、生命の千年の夢を実現できるかも知れない。
 既に我々は、成すべき仕事の余りにも小さな見本となる、絶えず
発見の進展を加速し、止むことの無い知識の拡大をする生命を
見付け、時が過ぎるほど、その生存の短さを、もっともっと後悔
する理由を見つけ出すだろう。科学が錬金術師の望む不老不死
の薬《エリクシル》をいずれ発見するようなことは極めて有り得ない。
宇宙の力は、誤魔化しを許さないだろう。全ての利益を許される
には、正当な代償を払うべきで、代償の無い永遠の法則は有り
得ない。おそらく長寿の代償は、蟻が払った代償が証明するだろう。
おそらく、いくつかのより古い惑星では、その代償は既に支払われ、
階級によって制限された子孫を産み出す力は、思いも寄らない
方法で種の残りから形態学的に分化しているのだろう……
95:小林◆YAKUMOZcw. 10/27(月) 19:29 Duy6Qf+M0 [sage]AA
六節目終了です。
自分で翻訳していてナニですが、意味がよく分かりません(^^;
ここの文章は日本語として意味が通るようにしているつもり
ですが、通して読むと何を言いたいのかがよく分からなかったり
します。

後からじっくり校正する必要が有りそうです。
96:小林◆YAKUMOZcw. 11/02(日) 10:15 jt1TfccY0 [sage]AA



 しかし、昆虫生態学の真実は未来の人間の進化の道筋に
関する非常に多くの示唆をするが、さらに宇宙の法則と倫理の
関係に対する何か極めて大きな重要性を示唆していないだろうか。
どうやら最高度な進化は、人間の道徳的経験が全領域で断罪した
有能さを生物に許さないだろう。どうやら最高に有りそうな力は強い
利他性であり、最高位の力は冷酷や肉欲には調和しないだろう。
おそらく神々は存在しないだろうが、存在の全ての形態を形成し
分解する力は、神々以上に厳しく見えるだろう。星々のやり方に
「劇的な意図」を証明するのは不可能だが、やはり宇宙の過程は
全ての人間らしい倫理制度の価値を人間の我欲と根本的に対立
する物と断言しているように見える。
97:11/02(日) 10:19 jt1TfccY0 [sage]AA
七節目終了ですね。これで虫の研究「蟻」の翻訳が終わりました。
Kwaidanの翻訳は注釈が残るのみです。

その後は英文の校正をしながら、同時に訳文の校正をし、htmlファイル
にしてサイトへアップ。平行して奇談の翻訳も続けます。

1月くらいに全訳の「怪談」が電子書籍で出せると良いですがね。
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