【全米が】なんか笑える霊体験【テラワロス】外伝9
350:739◆Al9ki804zA 08/10(火) 18:47 w5as1QhD0

それは一年ほど前に、紅葉狩りをしようと名古屋旅行の初日のこと。

結果的に紅葉狩りの成果を言えば、全く紅葉している木々がなく、紅葉狩りならぬ銀杏狩りに終わってしまった。
明治神宮では青葉ままで紅葉が拝めずのリベンジだったので、熱田神宮→徳川園というスケジュールを組んだのだが、空振りに終わる。

そして、現地の友人夫妻一家と夕食を取る約束のため、友人夫から先にもらっていた徳川園発のバス時刻表の画像データに従って時間を調整したのだが、貰った画像データと現実時刻表が違いすぎたんだ。あんのニワトリめ。
恨み言の一つでも言おうと(待ち合わせ時間のこともあるので)SMSを飛ばし返信を待ったのだが、運よく数分程度でバスが来たので運転手に停留所の確認をして、そのまま乗車。

さて愛知といえば、交通事故全国ワーストランカーなのは知られたことだが、今回乗車した路線バスに至っては正面衝突事故も起こっているとのこと。
そんな名物()に、まさか今回流石に引いたら永劫ハナシのネタにしてやろうと、意気込んでいたんだ。

しかし、バスに乗車して数分も経たない内に、眠気に襲われた。
タカノでパフェ2品を食べていた時以外は歩き通しだったため、その疲労が出たのだろうと、聴いている音楽で時間を計りながら、軽い仮眠を取ることにした。

そして、意識を半覚醒状態に落とし込むと、ジブンの周囲に不思議な気配が、もとい、平生ならば知覚外の魑魅魍魎(もといこまい妖怪)たちが蠢いていた。
危害を加えるような様相は見えないため、放置していると、

――たからだ たからだ 我らがたからだ
――かくせや かくせ しまいこめ

と、私の周囲に鉄板のようなもので立て掛けては一方以外を囲い込み、その中に綿のようなものを詰め入れていた。

一体なんのつもりなんだ? と、思いつつも、気配がどこか友好的なソレなので、
「(あーまー、きっと交通事故から護ってくれている、そういうことにしておこう)」

と、ジブンの中で済ませると、綿っぽいものを入れきったのか最後の鉄板を立て掛けて四方を完全に囲い込むと、念の入ったことに、蓋のようなものを被せてきた。


結局、何事も無いままに待ち合わせの停留所、の、スーパーに辿り着き、
ニワトリに改めて文句を言って、夫婦の車に乗せてもらい古民家カフェで、夕食を美味しくいただいたのだった。


――――
351:739◆Al9ki804zA 08/10(火) 21:58 w5as1QhD0

ソレは今から十年ぐらい前。
現在の体質のきっかけたる“たぶん脳梗塞”から二年ほどは経過していたときの、盆休みの母方実家帰省のこと。

当時の私はジブンのカンカクをかなり持て余しており、ソッチ系の免疫も脆弱だった。
小さなソウイウ気配に怯えては、何も知らない家族に悟られまいと表層に出さないように努めるのが、当時の精一杯だった。それだけでなく“たぶん脳梗塞”による発話困難や身体麻痺のカバーもあった。
行かないほうが良いのはアタマではわかっていたが、幼い頃から母方実家に遊びに行くのは私含めて三姉妹全員楽しみにしてきた行事なので、ジブンだけ「行かない」というのは怪しまれる恐れがあったんだ。

別の理由もあった。
母方実家は隣家まで直径300mの距離があり、最寄のコンビニまで車で30分はかかるという、ガチ山奥だ。
なので、山の精気に当たれば多少カラダがラクになるのではないか。そう考えてだった。

しかし、母方実家のエリアに入った瞬間、待っていたのは“アウェー”なソレだった。
そして、視覚化こそできないが、その“アウェー”さを放っているのは、山の精などではなく、祖霊たち。

ここは確かに何度も遊びに来た母方の実家であり、私は母の実子だ。そして、ここは母の父が建てた家である。また、この家では田舎特有の違う家同士が同じ墓所で、盆でこの家は必ず“お迎え”をしており、私も以前から何度もしている。何より、バチ当たりなことなどしたことがないし、そもそもしようもない。
にも関わらず、土地にいる祖霊たちは、『私』に対して排他的な気配どころか、害意や敵意を露にしている。

変な不可視連中からちょっかいを掛けられることは間々あったが、ここまで明確すぎるものをぶつけられたのは、初めてのことだった。しかも、その相手が祖霊である。まるでイミがわからなかった。

混乱とショックで、唯一落ち着けた場所は生前に祖母がナニかしらの作業をしていた軒下のスペース。そこだけは、祖母の気配が強く残っており、ひょっとしたら祖母自身がいたのかもしれず、そこに横になって凌いでいた。
352:739◆Al9ki804zA 08/10(火) 21:59 w5as1QhD0

そうして迎えた夜。昼間の天気を引き継いだかのような晴天だった。
都会から離れているため、雲ひとつない夜空は金銀砂を撒き散らしたかのよう。天の川が見えるレベルの澄み渡りは、星が多すぎていっそ星座がわからないほどだ。
そんな満天の空の下で、親戚の子供たちと親たちと、姉とその夫と妹と母が花火で遊んでいた。
楽しそうに、声を上げて、笑って色とりどりの火を振り回していた。

しかし、私はソレどころではなかった。
夜になって個体数も増えてソレら自体の強まりすぎた念に、怯え切っていたのだ。
昼はまだ残っていた祖母の気配も、ソレらを前には押しやられてしまい、私を護ってくれる――もとい安心させてくれるモノなど、どこにもなかった。

周囲にあるのは、敵意と害意を剥き出しにする、本来ならば護ってくれるはずたちの存在。
このまま死に追いやることすら、やぶさかでない様相で。

恐怖とショックで混乱は増し、増した混乱は一層に恐怖を募らせる。
そして、募った恐怖は、悲しさを呼んだ。平生ならば、張った虚勢の向こう側にある、ソレを。
一度ソレを自覚してしまえば、もう駄目だった。

「(・・・・・・ぁ、)」

張っていた緊張の糸はほつれ切れ、
気付けば、私は不可聴の強すぎる金切り声を、全身で上げていた。


その瞬間だった。
353:739◆Al9ki804zA 08/10(火) 22:01 w5as1QhD0

晴れすぎた夜空だったが、急にどこからともなく厚く低い雲が垂れ込め始め、
ゴロゴロと、電熱による空気の膨張破裂音が、周囲に響き渡る。

急な雷雲に花火をしていた一行は急いで片付けを始めて、急いで軒下や屋内へと避難を始めた。

山で天気が急変することは、珍しくない、そう、珍しくはない自然現象である。
空気の膨張破裂音の頻度が高くなり、厚くなった雷雲が稲光を伴い始め、溜まりに溜まった静電気が空気という分厚い絶縁体を破壊しながら地面最寄りな高い木に落ち、それぞれの破壊音が空間全体を割れんばかりに響き渡って空全体が大きく震え上がるなど。よくある自然現象である。
その後で、空が急激に晴れ上がるのも、そこそこ経てば山火事懸念なのか消防車のサイレンが聞こえ始めたのも。珍しくは、ない。

そして、糸が切れきったはずの私は、なおもガクブル震え上がっていた。
これは去った雷に怯えているわけではなく、況して、祖霊たちの害意や敵意に怯え直しているワケですらなかった。
それどころか、祖霊たちのほうが幾分か“まだ”マシだったと、痛切に思い知らされていた。

「(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい、なんでどうして!!?来ちゃったの!!?)」

あの雷の気配は、雷神のものだった。
知っていたカルラ(らしきモノ)のソレとは別種で、ただの自然現象にはない明確な目的意思が、あの雷にはあった。
354:739◆Al9ki804zA 08/10(火) 22:03 w5as1QhD0

そして、ナニかしらの明確な意思を以って落とされた雷は、周囲一帯の祖霊たちの気配を一瞬にして黙らせた、を通り越して、掻き消した。

都合の良い解釈をするならば、耐えかねて上がった悲鳴に雷神が助け船を出してくれた、である。だが、現実的に考えるならば『なんかアソコが色々うるさかったから雷落としてみた』ぐらいが妥当だろ。確かめる術は、もうないが。
が、いずれにせよ、不安感で結果的に呼び出してしまい、ソレで周囲から多くのモノが消滅してしまったら、果たして。

「(これじゃ、私がなんのためにカルラの力を敢えて遠ざけてきたのか……)」

自身の不甲斐なさに今度は泣き出しそうになったが、これで泣き出してしまえば、変な意味で周囲に心配されることが目に見えていたので、必死に耐え、何事もなかったかのように家の中に戻った。心の中で、亡き祖母に礼だけ述べて。
そして、やっぱり自分自身が強くならねば、今のようなことはこの先何度も起こり得てしまい、一番恐れていた未来が現実になるだろうと、深く胸に刻んだ。


その晩、夢にて空から星が落ちてきて、その中から出てきた宇宙人らしきモノに命を狙われたが、
「(コレはただの悪夢!!)」と、敢えて自ら殺されに向かい、頭を鉈だか斧だかでカチ割られて目が覚めた。
そこそこ早くはあったが、既に朝には違いなかったので、ジブンの布団を畳むと眠っている母と姉妹を置いて食事場所へと向かった。

その後、墓参りも迎え火送り火を何事もなく終わらせ、悪夢も見ることなく、二泊三日の小旅行は恙無く終了した。


――――
355:739◆Al9ki804zA 08/11(水) 15:27 j5cQ72bS0

今から一年ほど前のこと、
政府のGotoキャンペーンで長野は軽井沢にホテルのサービス目当てで宿泊を決めたんだ。

そして現地ホテルに到着して浮かれたまま綺麗に整えられた植栽に心の中で話し掛けた。

「(こんなに丁寧にされてて、いい暮らしをしているのね)」
飽くまで、内心独り言で、ある。

のに、

――よくはないけど悪くもないね

という思わぬマジレス。

( ゚Д゚)

硬直が解けるのに2秒はかかったんだ。


――――
356:08/22(日) 16:00 DJ6PeDzv0
なんでまたそんな、祖霊さんから邪険にされんといかんかったのか、と
思っちまうんですがね
357:739◆Al9ki804zA 10/13(水) 18:43 zZaDaoB60
少なくともネカフェ一棟分を消し飛ばした話


それは今から数年程前に、イベントの話し合いで池袋のネカフェ個室に集まったときのことだった。

先に言っておくと、池袋は個人的には用がなければ近付きたくない場所である。
視えることはなくとも視えるまでに至れない、明確な自我を持つまでにも至れない、レベルのイヤなモノが、蠢き、吹き溜まり、意識を耐えず隙のあるものへと張り巡らせている。喩えるならば不可視の大小不問なアメーバやヒルのようなものがあちらこちらにあるようなカンカクである、私には。
とはいえ飽くまで「用がなければ」であり、「用さえあれば」フツーに赴く場所でもある。イヤなだけであって怖い場所ではなく、その「イヤさ」すらも、各種イベント(毎年の池袋ミネラルやメディアコラボとか)の前には瑣末すぎるものでしかない。コッチに気を向けるだけで、基本何をすることもないのだから。私には。せいぜい、向けられる意識にキモさを覚える程度で。

さて、先方は当然私のこんなカラダを知ることもないため、全員が集まり易く、長い話し合いが出来る場所として池袋のネカフェ個室が選ばれたわけである。持ち込みフードも自由で、ドリンクはフリー、防音も利いているため、どんなに騒ぎ散らかしても問題はない。実に合理的である。勧めてくれたのは、池袋を良く使っているヒトだった。

そして、予定や役割分担を飲み食い楽しくキャアキャア騒ぎながら進めていったのだが、暫くして、急激な眠気に私は襲われた。

自宅から池袋まで結構な時間がかかるのに朝が早かったから、
仕事の疲れがここに来て気が緩んで出てきたから、
いやいや、デパ地下デリやスィーツを貪り食って満腹になったから、
など、思い当たる節がありすぎて、或いはその全部だろうと然程気に掛けないまま、軽い仮眠を申し出て、私は眠気のまま横になって目を閉じた。
358:739◆Al9ki804zA 10/13(水) 18:44 zZaDaoB60

その瞬間、入眠とは呼べない恐ろしい速さで意識が落ちていくのがわかり、このまま気持ち良く夢も見ずにぐっすり仮眠が取れるのだろうな、と、思っていたら、
ふと落ちていく意識の速度に歯止めがかかり、ゆっくりと意識がその場に留まっていくのがわかった。
体は眠った状態で、眼は閉じたまま意識の向こうに引っ張られ、た、瞬間、
横になっている私に、半透明の球形のようなモノを被せてその上から更に覆いかぶさっているしだらと、更にその向こう側で、なんだかよくわからない邪気を発しながら更に覆い被さろうとしている、アメーバとヒルの複合体の様な群生体のような、汚泥の波。名伏し難い、ナニか。その光景が、飛び込んで来た。

私は半分ユメの中のままで声を上げようとしたが、
平生では決して見られないしだらの苦悶を耐えるような形相と、その向こう側のナニかに、「(コレ声を上げるなんて悠長なことできねーわ)」と事態を見て、意識を瞬時にまとめ上げる。

・先方に退く気配は? →皆無
・先方にコミュ取れるほどの自我は? →皆無

そも、マトモな判断能力すら持ち得ない可能性が大
→そんなのあったら土着神の気配を感じた時点で深追いしない

対話は『不可能』
恐らく脅しも『不可能』
どうやら向こうは本能や反射でしか動けない有象無象

何より→この状態のしだらをどうにかしなければ

結論:

が、私の中で下った瞬間、全身から不可聴の金切り声が、発された。
359:739◆Al9ki804zA 10/13(水) 18:46 zZaDaoB60

自身すら知り得ぬような奥底から発された怪音波とも呼べるソレは、そこで知覚し得るもの全てを地の底から震え上がらせ、
その場にあった邪気を発し覆い被さろうとしていたモノ諸共エリア一帯のナニかを全て消し飛ばした。

消え切った気配に、私は横たわったまま小さく肩で息をしていると、不意に、しだらでもなければ況して先程の思念体と全く違う存在がこちらに意識を向けているのを知覚した。
上体だけ起こして顔を向ければ、そこにあったのは西洋の鬼のような、何か。短い下履きだけの青皮にスキンヘッドで、額に横並びの皮に覆われて飛び出た角が二本の、個体。

その個体は、気付いた私に気付いてか、片膝と片拳を地に着けて頭を下げてみせた。

なんだかよくわからないが、伝わる念は確かに『謝意』で。
ひょっとしたら、この鬼さんはここら一帯の主的な立ち位置なのかな、と結構どうでもいいことを取り留めなく考えていたら、
私は、目を覚ましていた。

あまりに疲れ過ぎたなと思いながらも、起きた後の楽しい会話と美味しい食べ物の前にはそんなことはどうでもよいことであり、眠気が残りながらも、予定の話し合いに戻って行った。
そしてドリンクおかわりで室外から出た時に、こころなしか、池袋特有の変な圧迫感は、薄らいでいた。

そして、以降、
私が池袋でネガティブな気配を感知することは、一切無くなった。


――――
1-AA