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【全米が】なんか笑える霊体験【テラワロス】外伝9
365:739◆Al9ki804zA 10/13(水) 19:23 zZaDaoB60
基本的に、思い出したもの、書けそうなもの、からガリガリ書いているのですが。
「あれ?このエピ書くなら先にアッチ書いといたほうがいんじゃね?」
と、アレコレ考えてしまい、気付けば二ヶ月経過。
単に、休みでアソビ予定もない雨天で完全に「何もすることがない(晴れてアソビ予定が無ければ掃除洗濯買い出しと結構忙しない)」日が無かった、というのもありました、が。
池袋ネカフェとゴングの話はもっと後にしようかと思っていたのですが、前の十年前帰省エピと池袋ネカフェエピは多分近いほうがいいだろうなと思ったのと、
池袋ネカフェエピを書くのなら数年前の池袋ミネラル帰りからのエピを近い範囲で書いたほうがいいよなと思い、
その池袋ミネラル帰りからのエピを書くのなら先にゴングの話を書いておいたほうがいいよなと思い、
そして池袋ネカフェエピとゴングの話は近いほうがいいよな、と。
なお、いつか書く池袋ミネラル帰りからのエピ自体は結構短いかと思われます、ハイ。
366:739◆Al9ki804zA 12/03(金) 22:07 bIReyCZV0
久々に神を殺した話
それは今から数年前の、コロナ禍前の池袋ミネラルの後のこと。
当時の池袋ミネラルは開催日の枠ごとの完全入れ替え制などではなく、チケット一枚あれば好きなタイミングで自由に出入りができた。
そして、私はその年も土曜日に有給を取り、土日の二連予定。
土日とそれぞれ違う人間と回る予定で、そのどちらも来れる時間に会場内で落ち合い、一緒に見て周り、相手が疲労を申告したら適宜食事や茶といった休憩を挟む、といった流れである。なお、相手申告なのは、私は体力が比較的あるほうであり、たぶん脳梗塞の四肢障害を気合いと根性で無理矢理動かし続けたために精神が肉体を凌駕してしまい疲労感を覚えにくいためである。ただ、しだらから“休め”とアタマを叩かれたら流石に休むが。渋々。
その年も、例年通りだった。
いつものように友人とブースブースを人ごみを掻き分けながら見て回り、ジブンの目当てを探し、友人に鉱物の簡単な解説や説明をしていく。たまに、業者さんとお喋りして、ならではの裏話や苦労話を聞いたり、或いは鉱物とは無関係な業者さんの生い立ちを聞いて声を上げて笑ったり、ブース裏手を借りて水分補給したりと、何しに来たのかたまに結構わからなくなる。
そして、閉場時間まで残り僅かというところで、私と友人は会場を後にした。
367:739◆Al9ki804zA 12/03(金) 22:08 bIReyCZV0
サンシャイン内を歩きながら、夕食の場所について話す。選び考えるのが面倒だというのと、料理にハズレが無く小皿料理を品数多く頼め、ドリンクも豊富で酒が好きな私にもアルコールどころか炭酸すらアウトな友人にも優しい。そんな理由で、いつものようにキリンシティにする。遊びに行くエリアにだいたい存在するのが有り難い。
そして、目的地へ向かうため、私は友人に道案内を頼んだ。
私は、サンシャインから現地までの道のりを、おぼろげながら「なんとなく」は覚えているのだが、その「なんとなく」で痛い目に遭ったことは過去n回。つまり、アテにならない。そして私の電話は買い換えたばかりでも二つ折り仕様のままであり、タブレットも持ってはいるのだが、回線は家の固定ワイファイか外の各無料ワイファイか、なのでガイドは実質不可能である。
あと今回に限って私が道案内できない、しないほうがいい理由があったのだが、念のためにソレは友人には伏せて道を探してもらった。
しかし、彼女も大概だった。アプリを開いて探してくれるのはいいのだが、どこをどう動くのか、と悩みに悩んでいた。私も一緒に見たほうがいいのだろうが、前述のことがあり、画面を見ず口を挟まず彼女についていった。
徘徊していたのは夜も中々の時間だったが、かつてあちらこちらで蔓延っていたヤな気配は、もう全く感知しない。前にネカフェ一棟分の気配を消し飛ばしたのが脅しとしてキいているようだ。やはり暴力は強い、力こそパワー。
368:739◆Al9ki804zA 12/03(金) 22:09 bIReyCZV0
そうして十数分ほど経過しただろうか。不意に、私は意識を持っていかれるように、持って行かれるがまま顔を向けてしまい、
ジブンで、顔が歪んでいくのがわかった。
頭にはあったのだが、寄る予定も気も全く無かった。
冬の夜で暗くなりながらも街灯の光で照らし出された、小さいながらも小奇麗でそこそこ立派な社が、そこにはあった。
「チッ」
リアルに舌打ちをし、被っていた新品な中折れ帽を外して一礼。
友人は私の急な行動に少し怪訝そうな様相を見せたが、先にあった存在に気付いて腑に落ちたようだった。そして、同じく小さく一礼をした。
そこからは、ものの五分と掛からずキリンシティに到着できた。大幅な、遠回りだった。
369:739◆Al9ki804zA 12/03(金) 22:10 bIReyCZV0
席に案内されて、それぞれ好きな物を好きなように注文した。
数分後に、飲み物がそれぞれに届く。私はハーフアンドハーフ、友人は自家製シロップ入りの午後ティー。
私はビールを半分ほど飲んで、愚痴をこぼした。
「あんたなら無いと思ってたけど、やられたわ」
そして、友人に話した。
道はなんとなく覚えてはいたけども普通に曖昧すぎてアテにならず、アテにならないからこそ意識の隙を突いてあの社(なお当事社の名誉のために言っておくが、何の変哲も曰くもヤな気配もないフツーの社)がヨび寄せてクる懸念があった。だから、回線のこともあるとはいえ、道案内を丸投げした。
彼女の母と妹は結構な霊障体質の一方で、彼女の父と彼女自身はそういうことが全くない、というのを聞いていたため、向こうがコイツの意識をジャミングできるとは考えていなかったし、してもそういう相手にはコストが掛かりすぎるため、割に合わないからしないだろう、と思っていた。
しかし、結果はこの通り。
コストを掛けてでも実行させ、まんまと付近を通らせ、私の意識と視界に入れさせることに成功した。
私は腹癒せに残りのビールを飲み干して、新しいのを注文した。そうでもしないとやってられない気分だった。
370:739◆Al9ki804zA 12/03(金) 22:14 bIReyCZV0
友人は、私の異様な「神好かれ()」を私から聞いてはいたし、そして実際に現場に何度か居合わせることもあるので理解はあった。
しかし、今一つ腑に落ちないような様子だった。
「でも、なんであんなに嫌そうに?」
私は、ジャーマンポテトを貪り食って飲み込んで、答えた。
「単純に、相手の思惑通りなのが気に食わない。あと、手段が悪い。道に迷わせてジブンのとこに来させるって、結構ナイだろ。相手の意識の隙を付いて、どうこうするってのは。だから『嫌』だと思ったことをキチンとアピールしないと駄目なんだよ。じゃないと、連中付け上がるから。感知できない他の連中への牽制も兼ねてね」
私としては、感情それ自体は行動バフのエネルギーでしかない位置づけであり、感情表現は他者へのコミュニケートツールか、発生したエネルギーを消費し切るための自身に向けるポーズだ。
発生した『感情』が向こうの連中に漬け込まれないよう、隙なく無駄なく利用し消費し切り、無理なく消化していく。不完全燃焼の感情エネルギーこそ精神の毒だというのは嫌という程わかっているし、ソコが狙いどころだというのも否が応なしに思い知っていた。生身の人間ですらソレを利用してくるのだ。時と場合と相手によっては私もやるし。
だからこそ、嫌なものは嫌だと、先方に表明しながら付け入られないように発生した感情エネルギーを消費し切らせ、
その上で「それでもコッチはジブンの感情とはベツに礼儀を守るぐらいの度量はあるんだぞ」と、見せておく。
ゆえの、顰め面舌打ち挨拶、である。
371:739◆Al9ki804zA 12/03(金) 22:15 bIReyCZV0
「あーあ、連中ホントめんどくせぇ」と私が更に愚痴をこぼすと、
「でも、神様って、めんどくさくない印象がないんだけどwww」と草を生やしたので、
「確かにwwwだったわwww」そのまま二人して笑いながら食事をして、別れた。
結構な遅い時間になってしまっていたので、最後の路線の電車は本数少ないから乗るまでかなり待たされるだろうなぁ、でもコレ乗っちゃえばすぐだもんなぁ、と取り留めなく考えて次の改札まで向かったら、土曜とはいえその時間には珍しくヒトでごった返していた。
なんだと思って進んでいくと、流れてきたアナウンスの内容に愕然とした。
隣駅で人身事故が発生し、復旧の目処がつかないとのこと。
それを聞いた後で電光掲示板を見れば、発車予定時刻が今の時間より少し早いまま止まっていた。池袋駅からの電車にあと二本早く乗れていたら、充分に逃れられていた。
もし、ミネラルをもう早く切り上げていたら、あの社に寄らないままだったならば、事故に捕まらずに乗れて帰宅できていたのだろうか。
そんな栓のないことを考えたところで時間が戻るわけでもなく、また路線の復旧が進むわけでもない。
この駅のネカフェに泊まろうかとも考えたが、明日も明日で違う人間とミネラルに行くのだ。事情を話せば相手は気にしないどころか労ってくれるだろうが、こちらとしてはきちんと着替えて風呂入って寝た状態で行きたい。今日も長時間歩き通しで、明日も歩き通すのだから。
372:739◆Al9ki804zA 12/03(金) 22:15 bIReyCZV0
なので、私は意を決して駅のタクシー乗り場へと向かった。
深夜時間もあって料金はエグいことになりそうだが、背に腹は変えられない。
タクシー乗り場は案の定長蛇の列で、更に吹きっ晒しの寒風で凍える思い。
近くに見えたバスターミナルで、家の駅までのバスは確かあったはず。と、考えるも、この時間帯でローカルが過ぎる路線バスの本数は期待はするだけ負けるし、何より散々寄り道した挙句の駅到着だ。今のタクシーを待ったほうが、余程に早く帰宅できるのは眼に見えていた。
「(にしても、コレは運なさすぎだろ。アタシにしては珍しい)」
私は、こういうときのタイミング運が良すぎたりする。
電車に乗ろうとしたら、ちょうどすぐ来る電車が急行だとか、私の乗った後で人身事故だとか、そういうのだ。
「(でもまぁ、無くはないからなぁ。タクシー代はイタいが。せめて明日の飯代は残ってくれ)」
暇すぎて、思考だけが進む。
「(にしても、復旧見通し立たず? それってモツやナニやらが飛び散ったってこと? それでも、コレがあそこの路線だったら二十分も経たずで復旧できるんだけどなぁ……無いもの強請りはできないか。今時期の名物とはいえ、巻き込まれるのはなぁ。つかこれ賠償どんだけだ?この規模だろ?家族がいたら間違いなく借金地獄で今度はその家族が、って)」
寒さで思考が今度こそ取り留めなくなり、やがては寒すぎて考えることすらもできなくなって、やっと先頭になった。とはいえ、まだタクシーは来ていない。人数が人数過ぎて、運んだ後で駅に戻ってくるのにも時間がかかるようだ。
タクシーの待機列は変わらず長く、見える駅の様子も先ほどと変わっていない。向こうで復旧を待たなかったのは、取り合えず正解のようだ。
373:739◆Al9ki804zA 12/03(金) 22:16 bIReyCZV0
そうこうしているうちに、やっとタクシーが来てくれたので、乗車した。
目的地は自宅。住所と併せてランドマークになりそうな建物を話すと、地元でもないのに理解してくれた。ありがたい。
駅から離れ、温かい車内で、やっと一息。
後部座席でダラけた状態で座り、寒い外を車窓から眺める。
街灯はそこそこあるが、冬の遅い夜。外を眺めようにも、眼に映るのは闇を塗り込めたガラスに映る自分の姿ぐらい、の、はずだった。
自分の顔が映り続けるだけの車窓の黒いガラスの向こう側に見えた、ちいさな社。大分前に、その駅周辺の徘徊で通りがかったことのある、そこ。
イヤにはっきり眼に見えたソレから伝わってきたのは、気恥ずかしさ、喜び、満足感、達成感、そして、
瞬間、私はその社の主を、縊り殺していた。
374:739◆Al9ki804zA 12/03(金) 22:18 bIReyCZV0
久々に神を殺したが、やはり私にはコレに関する『感慨』というものはないというのを、改めて思い知った。
私にとって、コレは、蚊を叩き潰したり、雑草をむしるカンカクと、大差なかったのだ。
「(にしても、社持ち確定を殺したのは初めてだけど……だとしても、あれは流石にアウトだろ)」
社とかソウイウものは、連中にしたら謂わば『装置』である。関わる当事者たちが、各々の目的のために、確率を操作させたり、対象の意識をジャミングしたり、隙を突いたり、ナニかを封じ込めて何かに利用するためのエネルギーや補助装置にしたり。
もちろん、神が全員ソレが無ければ何もできないわけでもなければ(しだらェ)、社を持っているからとはいえ『装置』として扱いきれる訳でもない(あの遣使さんがしだらを投獄していた理由はならず者の管理が三割、自身が装置を扱い易くするためが七割)。
ただ、あの主は、装置を「ちゃんと」使えているということは、そこそこに俗世にも知見ある存在なのだろう。
だからこそ、アウト、だった。
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