【全米が】なんか笑える霊体験【テラワロス】外伝9
383:739◆Al9ki804zA 07/13(水) 20:04 3ohrMfJjsAA

そうして迎えた最終日の帰り際。まだそれはあった。
「すみません、もう帰るんでこれ買いますw」とお決まりの草を生やして、そのブースに来た。
すると期間中何度も来ていた私におっちゃんは笑いながら言った。
「これを入れといてなんだけど『こんなの誰が買うんだ?』って思っててさ。君は、ぼくの選んだ好きなものを見てくれるから嬉しいよ。感覚が似ているんだろうな」
ある種のリップサービスなのだろうが、私はそもそもそんなにここで買っていないので、褒められている気もしない。私がせいぜい買ったものといえば、なんだかよくわからない副葬品らしき指輪と、無駄に立派な母岩付きトパーズ鉱物標本ぐらいなもの。
なので、
「それって喜んでいいんですかねwww」と返してみる
「そりゃそうだよ!」と、力強く返されたので社交辞令スマイルを浮かべるだけに留めた。


そして次の休みの日に他に買った石を眺めつつ、水晶印材を標本台に付いた状態で改め眺める。普通にきれいでインクルージョンも良い景色をしていた、が、違和は拭えない。
ふと、そういえば底はどうなっているんだろうと、気になった。ハンコとは言っていたが、そもそも著名人でもない一般人の名前が彫られたものを譲渡することはないだろうとはいえ、あの時見ていない(し未購入商品を標本台から剥がす行為は流石にナイ)ので、台接着の粘土を剥がして手の上に取った。
瞬間、持っていた違和が一気に膨れ上がったと思えば弾け飛び散り、その正体を知るに至れた。

これは、自らの意思を"強く"持ってしまった、モノだった。
原因は、恐らく当時の職人が"心を込めて"丁寧に仕上げた"所為"で。
当人の意図しないところで、余りに丹念に制作したために、念、もとい、意思判断のアルゴリズムが物質に組み込まれてしまったのだろう。
なお、肝心の裏は案の定何も彫られてはおらず、裏から見た景色も普通にきれいなものだった。
が、それよりも、私はなんとも言えない、何を云ったらいいのかわからない感覚に陥る。
自らで物理的に動くことのできない物が、自らの意思を持ってしまう。これほどの不幸を、私は早々に知らない。
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