【全米が】なんか笑える霊体験【テラワロス】外伝9
419:739◆Al9ki804zA 06/25(日) 14:37 zTTpWEge0AA

そして次に気付いた時にはフツーにいつもの朝。
なんとはなしに起き上がって、近くにあったしだらの気配に意識を向けると、ヤツは額にかいた汗を手で拭っていて、いかにも『やり切りました』感を表情と共に出していた。心なしか、その気配はツヤッツヤ。
しだらの雰囲気からは、ナニとその関連に対して武力行使したようではない。そうならば多少なりとも殺伐とした雰囲気が醸し出るのだが、今のヤツから滲み出ているのはなんというか、交渉に成功したソレなのだ。

そんな所感をいだきながらも、
「(あの先方がメタメタな状況から交渉成功って何???)」
と、疑問が思い浮かんだのだが、浮かんだと同時にふとあることを思い出した。それは、鉱物の展示販売会で出展側常連の、経歴が強過ぎる女性が話してくれたソレ。

「私前にね、石を検査に寄越した時に、結果が私の想像と余りに違うものだから検査機関に『なんですか?この結果』って訊いたのよ。それで再検査して貰ったらやっぱり私の想像が正しくて初めの結果が間違っててね。だから『おたくのところは一体どうなっているの?』と事情を聞きに行ったのよ。そしたら向こうの方、ちょうど使わなくなった検査機械があるからくれるって言ったの。でも、そういう機械って重いし大きいでしょ?それを言ったら送料も出してくれるって。向こうから言ってくれた厚意は、無碍にしたら失礼よね。せっかく『くれる』って言ってくれたんだし」

この話を思い出したとき、私は内心で思わず天を仰いだ。

恐らく、しだらがナニに対して行なったのは、こういった類いの『交渉()』なのだろう。
先方の非に付け込んで『落とし前』をそれとなく要求。なんともまぁ、キツネに対するタヌキ返し。
非は向こうに100パーあって調査不足(下調べという概念があれば、少なくとも対他神の策を講じる必要性を覚えたはず)等の手落ちっぷりはどうしようもなさ過ぎるが、流石にミクロンレベルの同情は覚える。

そして思ったのが、
「(…………なんだかんだ、荒事だけでサバイブし切れるほど、神のセカイも甘くねーんだなぁ……)」
ニンゲン側に明確な神という発明概念が生まれる前から叩き上げでニンゲンたちをヘルプしてきた存在は、イロイロと違ぇわ。
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