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【全米が】なんか笑える霊体験【テラワロス】外伝9
382:739◆Al9ki804zA 07/13(水) 19:55 3ohrMfJjs
うつくしい、のは確かなのだが、最初にキたのはそういう感覚ではない。
色んな物がひしめき合っているそのブースで、いや、近辺で不思議な異質さを呈していた。見てくれは、どう足掻いてもただの水晶製印材でしかないのだが。
思わず手に取って眺めていると、ブース主のおっちゃんが、
「コレきれいだよね! 水晶らしくなくて!」
と、いつものように楽しそうに話しかけてきたので、
取り敢えずは、返した。
「はい。なんか、水晶なのにエルバイト(雑に言うと茶系トルマリン)や、色を間違ったトパーズ(黄玉はそんな色しない)みたいで」
そう思ったのは、確かに本心である。ただ、本心の一つでしかないが。
「そうでしょ!! これね、元々ハンコとして作られたものを、知り合いから分けてもらったんだ! こう光を当てると中の景色(インクルージョンの見え方)が凄くきれいなんだ。それに、これは昔山梨で沢山水晶が採れていた時に、生活品として水晶が加工されていた証でもあるんだよ。しかも、当時の職人の手磨きだから、今の水晶の雰囲気と違うよね」
その話を聞いてはいたが、私が覚えた違和は手磨きなどではない。手磨き国産水晶。それこそ同じ黒平産の煙や黒水晶のものを、幾度となく目に入れたことはある。なんだったら、ノウハウ継承洗練化で現代の手磨きのほうが「きれいに整っている」のだ。
ゆえに、目の前のこれの違和の原因は、確かに現代の技術に引けを取らないだとしても、手磨きはならない。
よくはわからないが、私は一旦その場を離れた。
「最終日の私の帰り際までにこれが残っていたら、これは私が買います」と言って。
そして「そうじゃなくても何度もここに来ると思いますがwww」と草を植えるのを忘れずに。
なおその「何度も、」の途中で煙水晶印材が見つけた場所になくて「(あれ?売れたか?)」と思っていたら、さっきと違う、まだ目に付きやすい低めのところに置かれていた。
覚えた疑問をそのまま訊いてみると、
「あの後、他の人も手に取って見るようになってね。少し見やすい場所に置いてみたんだ」
あるある。一度ヒトが触ると、どこで見ていたのかと訊きたいぐらいに、他の人間も触ってくるアレ。
まぁ、これで売れたら売れたで、私の財布がラクになるので、その場で買うことはしなかったが。
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