【全米が】なんか笑える霊体験【テラワロス】外伝9
397:739◆Al9ki804zA 03/05(日) 20:14 dyRvwvMk0AA

『大神明神(或いは三輪山権現)に遭遇()した日の話』


実際に遭遇するタイミングは文の最後のほうで、それまでは「それ以外のその日のこと」です。
省23
398:739◆Al9ki804zA 03/05(日) 20:15 dyRvwvMk0AA

同月の下旬の約束の日。
待ち合わせ駅で早い時間に到着してヒマ潰しに周辺を徘徊するのはいつものこと。
駅から離れなければいいと何も考えずに歩いていると、不意に視界の先に小さいながらも立派な社が、しかも遠目で真新しいとわかる上に、鼻でも木材特有の匂いを感じ取れるレベルの新物だった。
私はややゲンナリしてその社の前に立つ。どことなく得意げで自信アリな気配を放っていたのは、気のせいではないと思う。
嘆息して、お賽銭を入れて形だけの参拝を済ませた。私は、別に新しい社(後で調べたら正確には『移転』であり、この地に建てられたのは同月上旬というなんとも言えないタイミング)を参拝するために早く駅に着いたわけではないのに、と天を仰ぎたい気分に駆られた。省20
399:739◆Al9ki804zA 03/05(日) 20:16 dyRvwvMk0AA

んなの知っとるわ、ボケが
こっちとら砂糖ナシで飲みたいんじゃ

と、思ったことをぶつけずにハラの中に留めた私を褒めて欲しい。
とりあえず内心で舌打ちを一つして、残り一口しか残っていないカップの中に角砂糖を一つ放り込んで雑に混ぜて溶け切らないままに飲み干した。くだらない用件ではあるが、不興を理由に私に殴り殺される覚悟で存在感をあらわしたことに敬意を表してだ。ぁあ、クソ甘ぇ。省16
400:739◆Al9ki804zA 03/05(日) 20:18 dyRvwvMk0AA

明治神宮まで歩きながら愚痴で先程のことを話し、目に入ったカカオ果肉のジュースの看板を見て、欲望のままに買って飲んで友人にも味見させて飲み切って近くのゴミ箱に捨てる。お洒落な店が多いので見て歩くだけでも充分に楽しい。途中の式場で結婚式があって、きれいだねー、と取り留めく話したり。
そして明治神宮に到着して、鳥居を前に一礼。友人は初明治神宮らしい、というか神社といえば三重の実家近くの伊勢神宮へ年始に参拝しているので気が済んでいるとのこと。まぁ、特段理由が無かったら、そう参拝もしないわな。
鳥居を潜って手水場に行くと、柄杓が撤去されていてびっくり。代わりに、縦割りの竹が設置されており、そこに空けられた穴から落ちる水で清めると。今でこそ珍しくないスタイルだが、早い段階で考え出して設置する行動の早さは凄い。観光地としても名高いのは伊達でない。
二人で凄い凄い言って手と口を清めて中を散策。日中とはいえ、一月下旬としてはかなり暖かくて動きやすい。途中、白無垢と紋付き袴の男女に、正装姿の参列者がぞろぞろと歩いて行くのを見た。良い結婚式日和だ。
友人は「神前婚なんて初めて生で見た!!」と興奮していたが、確かに神社へ行くことのない人間からしたら、この光景を見るのはないかもしれない。私は見慣れてしまっていたが。省10
401:739◆Al9ki804zA 03/05(日) 20:25 dyRvwvMk0AA

目当てのカフェ付近まできて、詳細な道を見ようと友人がスマホでマップを開いてくれた。私は(これを書いている今でも)モバイルWi-Fiを持っていないためだ。
そして一緒に画面の地図を見ながら道を見ていたのだが、ふとある道の奥から「(あ、これは、)」とわかるレベルの神社の気配を感じ取り、私は「あの道じゃないみたい」と友人に言った。友人もそれに従い、別の道を行った。
しかし、その別の道に目当てのカフェはなく、再びマップを開いた場所まで戻ってよくよく見てみると、私が違うと、神社の気配がしたほうの道こそカフェに続く道らしい。
私が脳内で疑問符を打ちながらも歩いていくと、目当てのカフェがそこにあった。そして、カフェの周囲に神社などなく、気配の発信源は、そのカフェからだった。
私は一層に疑問符を強く打ちながらも、取り敢えずは無駄に歩かせてしまった友人に先に詫びを入れて、カフェへと入った。省13
402:739◆Al9ki804zA 03/05(日) 20:26 dyRvwvMk0AA

そう、木札一枚で“神が存在する”小規模神社相応の気配を醸し出していたのだ。いくら祈祷されてきちんと祀られているからとはいえ、類似例な猿田彦カフェはここよりもしっかりと神棚を設えた上で札が祀られているのに、一般的な『神棚感』で終了している(とはいえ周辺に構えてて何も考えずに歩いていると吸い寄せられることしょっちゅう)のに。
「(え、ちょっと待って、いくら祈祷しているからって、木札自体は所詮、量産な木の札よね? その量産品でしかない物から直な神気が出ているってどういう、)」


思考は、そこで止んだ。否、止んでいた、のだ。
403:739◆Al9ki804zA 03/05(日) 20:29 dyRvwvMk0AA


「(…………?)」

再び思考が戻っていたときには、身体の芯が震えだしていた。どうやら反射的に思考に割いていたリソースを身体の神経に回していたのだと、このとき知る。もし、この反射行動がなければ、私は失神して倒れこんでしまい、店の床の上で全身を痙攣させていたことだろうと思う。
そして、この現象がなんなのかは、知っていた。強すぎる神気にあてられた際に起きる、身体からのサイン、謂わば霊障ならぬ『神障』だ。省10
404:739◆Al9ki804zA 03/05(日) 20:31 dyRvwvMk0AA

「…………!!!」
ソレに思い当たった瞬間、今度は神気からではなく、自ら覚えた恐怖で身体が一層に震えそうになり、無理やり抑え込んだ。並列思考で表面上は友人と談笑し続けているジブンが本当に偉い。
どんなに力が圧倒的でも、感知するだけならば身体は震えまではしない。グリズリーやティラノサウルスを見かけたところで、向こうがコッチに気付いていないならば多少の恐怖はあっても背景の一部でしかないのだから。
しかし、その『背景』でしかなかった強大な相手が、コチラの存在に気付いてしまえばどうだろうか。それと同じだ。向こうにその気がなくとも、ちょっとした手出しでコチラはあっさり死んでしまう。そんな絶望的な力量差のある相手が、コチラの存在に気づき、あまつさえ近づいて来たならば。更に、その相手が加減皆無なナチュラル覇王色を纏ったまま干渉してきたならば。
省9
405:739◆Al9ki804zA 03/05(日) 20:33 dyRvwvMk0AA

たといそれが悪意も悪気も害意もない行動だとしても、祀られている正当できちんとした神であっても、旧い土着神の気配がコチラを目指して蠢いているなど、恐怖でしかない。

運ばれてきたスィーツを食べながら、お茶の粉で咽て「食べ辛いwけど美味いwww」と草を生やしながら食べつつ、友人が食べきれなかった甘酒スィーツを腹にスィープし、しばし食休みをした後で退店した。料金を支払う際に再び木札を見たが、もうそこからは神気も何も感知しなかった。用を、済ませてしまったからだ。その札を介して向こう側にあったナマの神気は、私にまとわりついている。
外を歩き、私は身体の芯の震えを少しずつ外に出しながら、友人に話した。
「流石に店の中で話すのは憚ったけど……私、あの木札の神に目ェ付けられていた。身体が、やっと震えてきた」省9
406:739◆Al9ki804zA 03/05(日) 20:34 dyRvwvMk0AA

そうして周辺を歩いて雑貨店やら家具屋やらを見て回りながらも、神気は一向に離れる気配も薄らぐ気配も、無かった。
私自身もだいぶ落ち着いてきたのと、いい加減にその気配に慣れてきたので、
「(んでコレ離れねぇんだ??? もうコッチ側に出てこれて終わったはずだろ???)」
と苛立ちすら覚え始めた頃に、ふとわだかまっていた気配が急に収束して、再構築をし始めた。
「(???)」省21
1-AA