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【全米が】なんか笑える霊体験20【テラワロス】
451:09/21(水) 14:21 +Fui0DiB0 [sage]AA
去年の秋だった。受験で毎日図書館に出入りしていた僕は、
運命的な出会いをした。座ってノートをとっていたときに、ふと
正面をみるとメガネをかけた黒髪の女の子が立っていた。
メガネの奥にひそむ大きくて優しげな瞳が印象的だった。
彼女は辞書ほどある分厚い本をかかえていた。よく見るとその本は
僕の大好きな安部工房という小説家の作品集だった。
僕は彼女の動きを目で追う間、絶えず緊張していた。
毎日勉強続きで、こんなときめきなど何年も体験してなかった。
だからなのか、おさえられぬ胸の高鳴りに動揺していた。
だけどいてもたってもいられず、僕は立ち上がり彼女のもとへ向かった。
そして彼女にこう言い放った。
「その本ゆずってくれないかな」
僕は前々からずっと貸し出し中のまま返却されない阿部工房全集を
待っていた。読みたくて読みたくて仕方なかった。この図書館にあることも
わかっていた。ただ借りたきり返却しないクズのせいで読むことができなかった。
ようやく返却された安部工房全集。次は僕が借りて堪能するはずだった。
それなのに、勉強に夢中で横取りされてしまったのだ。許せない。
僕はこの図書館、いやこの県内でもっとも阿部工房の素晴らしさを
理解できる人間だ。阿部工房全集は僕にこそふさわしい。
色恋にしか興味のない女子高生が大人ぶって読んでいい本じゃない。
東野圭吾あたりでも読んで読書した気になっていればそれでいいんだ。
「あなたいったい誰ですか?」
突然声をかけられて驚いたのか、女は僕を探るような目つきで見た。
「その本は僕が前から借りたかったものなのでゆずってくれませんか」
「いやです。まだ全部読んでないので、さっき返してすぐ借りました」
頭部を鈍器で殴られたような鈍い頭痛がした。
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