怪談:妖しい物の話と研究


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人形の怖い話ありませんか?三巻目
683 :もしもし、わたし名無しよ:2006/10/25(水) 09:25:25
>>680
ママが亡くなってから1ヶ月。ママの家族は、いっこうに私をAさんの所に送ってくれる
気配がない。ママと暮らしたこの家を出て行くのは辛いけれど、私はこの家を出てゆく事にした。

 

 親友が不慮の事故で亡くなってから、まもなく四十九日になろうとしている。ご両親の悲しみよう
は見ていてとても辛い…彼女の部屋は、彼女が最後に出て行ったときのまま、手付かずになっているそうだ。
今日は、四十九日の法要の前に遺品を整理したいと、彼女の母親に呼ばれて自宅まで行くことになっているのだが…

 Aが玄関を開けると、ゴトリという音とともに何かが足の上に倒れこんできた。何事かと足元を見たAは
思わず悲鳴をあげそうになった…そこには薄汚れ、ボロボロになった大きな人形が倒れていたのだ。
なんでこんな物がと混乱しつつもよく見てみると、見覚えがある気がする……
そうだ、親友がかわいがっていた人形だ…。それに気付いた瞬間、背筋が凍った。しかし、何はともあれ親友の
遺品だ。とりあえずと抱き上げる。……見れば見るほど酷いありさまだ。
まるで泣きじゃくった後のように顔の塗料が流れ、まるで自分で歩いてきたかのように靴は擦り切れ、本体である
樹脂まで磨り減っている。綺麗だったドレスは所々破れ、ボロ雑巾のような色になっていた。

人形を見つめていると、元気だった親友の姿が目に浮かんだ。生前の彼女の人形好きには辟易していたが、今となっては
この人形が彼女の生きた証のようなものに見える。……欠けたり磨り減ったりした部分は補修できるのだろうか?
顔の塗装は自分でした、と自慢気に話していたから、たぶん部屋に行けば道具類などもあるだろう。
そうだ、新しいドレスもあるかも知れない。

Aはそのまま「人形」を抱えると、愛車に乗り込み親友の自宅へと向かった。
…これが、後に伝説の『カスタマーにしてドレスディーラー』と名を馳せる
Aと「人形」との出会いだった…


というのはどうでしょう?



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