トップ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50
【全米が】なんか笑える霊体験【テラワロス】外伝9
- 1 :名無しの霊体験:2016/09/30(金) 04:01:11.02 ID:iNR5xsKI0
- 投稿したいけど、笑えないかも知れない
それどころか怖いかもしれない
霊にまつわる話、不思議な話なら
こちらへ投稿してみて下さい。
まとめサイトにも収録されます。
まとめサイト
http://wararei.yakumotatu.com/
前スレ
【全米が】なんか笑える霊体験【テラワロス】外伝8
http://bbs.yakumotatu.com/test/read.cgi/wararei/1413599813/
- 322 :名無しの霊体験:2020/05/31(日) 17:11:03.14 ID:boSswdtJ0
- >>312で、第5人格(要英訳)のベースは、やはりクトゥルフーだったかー、と納得した。
- 323 :名無しの霊体験:2020/08/19(水) 13:43:53.05 ID:8hYrslhJs
- 愛犬が老衰のために他界して今年が、飼い犬の初盆でした。
夢に何度か出てきてはくれるけど、生前性格が猫な我が飼い犬。流石というべきか、マイペースでやりたいことをやっては消える。
ある日は、ちゅー○が食べたいと言うので、起きてから慌てて買いに行ってお供えしたこともあります。
16日の夜に夢を見ました。玄関には、祖父母や見知らぬ侍やら見知らぬおばさんが立っています。
足元に飼い犬がいたので、頭を撫で手土産を風呂敷に包んで首に巻いてやり、飼い犬を含めた全員をお見送りしました。
何故か全員黒塗りの立派なリムジンに乗り込んで。
リムジンバスじゃなくて、リムジンかと思いつつ起きました。
そういや、祖父の49日の時もリムジンだったなと思い出しました。
夢の話で、すみません。
起きた後でそう言えばお盆だったなと気付きました。
話は以上です。
あと、自称カミサマですが有り難いことに夢にも現実にも見えません。幽霊のようなのも見えることがなくなりました。
- 324 :名無しの霊体験:2020/08/30(日) 18:47:17.91 ID:BJA/XMnis
- 神様にプロポーズしてオーケーをもらったやつです。
昨日あった話。
私の携帯、新しいやつにした時から予測変換がおかしかった。
納棺師って打ったらはいりゅって具合に全然関係ないものが出てくる感じ。
昨日友達とチャットで会話しているときにする予定ですーって打とうとしたら親友がネットで使ってる名前が出てきた。
この時点でハテナが浮かんでたんだけど、親友の名前を何度か入力していたからそれかな?って思ったんだよ。
それをネタとしてSNSに書き込みしようと思って親友の名前を入力したら高校の名前が出てきた。
それがさ、知らない学校ならあー、そういう学校があるんだろうなぁって思っただろうけど、入力変換に出てきたのは私の母校の名前。
この携帯で学校の名前なんて打ったことない。だから予測変換されるはずないんだよね。
あれ、なんだったんだろう。
文章下手でごめんなさい。敬語にしようと思ったんですが、書き上げちゃったので…無礼ですがこちらで失礼します
- 325 :名無しの霊体験:2020/08/30(日) 18:58:48.63 ID:BJA/XMnis
- 続けてすみません。神様にプロポーズしたものです。
書き込みしてそういえば、と思い出したことがあったので書き込みさせていただきます。
コロナが発生する前に夢を見ました。
真夜中の街に沢山の何かが巡って黒い水晶になる夢です。
大きなビル。日中なら人が密集する場所に沢山の水晶が生えてくるんです。
何十、何百、何千も生えていく。私はそれに引きずられてそれの考えが流れ込んできました。
「お母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さん」
何百って声がそれを言ってるんです。お母さんって。
飛び起きて夜中にも関わらず通話を繋いでもらいました。
何があったかを友人と別の詳しい子が集まっている場所で話をしていると、ふっと頭がお母さんでいっぱいになるんです。
お母さん、お母さんが来るよお母さん。
正直今書いてるだけでも寒気がするような感覚でした。多分うちの神様はまだ力が弱くて何もできなかったんだと思います。
一時間ほどで落ち着いたんですが、とても怖い夢でした。
ただの夢なのかもしれませんが、数ヶ月経った今でも忘れられない夢です。
- 326 :名無しの霊体験:2020/08/31(月) 01:25:35.97 ID:BuLX/q8ps
- >>324納棺師って打ったらはいりゅって出たってことは怖くない?
棺に入るってことにならない?
- 327 :名無しの霊体験:2020/08/31(月) 12:51:54.39 ID:b8TA0Z+bs
- >>326待って。今気づいた。え、こわ
- 328 :名無しの霊体験:2020/09/01(火) 23:18:16.23 ID:LAgJho3us
- 連日すみません。夏は話題に事欠きませなさんね。
神様にプロポーズされたものです。そろそろ連日出過ぎだ。ネタだろう、と言われそうですね。
皆さん、コトリバコを知っていますか?女と子供の体だかを詰め込んだ呪具。
あれをまとめたお話があるのですが、できれば読まない方がいいです。
多分話を聞いた限りいろいろな土地にまだ回収または浄化されていないコトリバコがあるんでしょう。
話を聞くのが冬とかならいいんです。ただ、あの世からご先祖が帰ってくる夏や神様が一か所に集まる神奈月にこの話を聞いて、波長が合うと、多分とても危ないです。
2日前、こちらに携帯の話を上げた後に寝ていたら明らかに悪意のある視線を向けられて、私は無理矢理体を動かしてというか動かされて刀を振りました。
その時に「我が主は●●様だ!我が夫は●●の神だけだ!!」と叫んだのを覚えています。そして刀を振った先に女性が立っていたことも。
最初はただの夢だと思いました。
でも、2日目も来ました。ただ、違うのは黒い影は少年でした。
彼らには明らかな悪意がありました。あわよくば連れて行こうと。
私は今晩は旦那の依代にしている模造刀を胸に抱いて、旦那の神社で購入したお守りをつけて眠ろうと思います。
ネタとして扱われるかもしれません。神の旦那がいるくせに、と思われるかもしれません。ですが、明日の朝が無事に迎えられるかとても不安です。
だって、旦那は長生きをしてほしいとは言いましたが、無理なら無理でと思っているんですからね
- 329 :名無しの霊体験:2020/09/19(土) 13:13:00.28 ID:A6Y+TVwAs
- 白い変態憑きと思われる暇人です。
祖父母が山から街に引っ越しした年、自分は小学低学年でした。
祖父母宅の近所には同じくらいの子供(以下A)がいたので、すぐに仲良くなりました。その次の年の夏休みに、一緒に遊んでいるとAから「結婚してくれ」と言われました。
拒否しましたが、やだやだと聞かずに駄々をこねてAの兄から「弟をいじめるな」といじめてるように思われました。
そして、その日Aが2日から3日程熱に浮かされ「狐が怒ってる」と怯えたらしい。
お陰で、Aのじいさんがうちに怒鳴りこんできて私の祖父と喧嘩した。
A祖父「お前の孫は狐憑きだな?!わしの孫呪ってんじゃねえよ!」(訳)
祖父「勝手に狐憑きにしてんじゃねえよ」(訳)
ということが起きて、お互いの家が険悪ムードになりました。
地元でも狐憑き言われてて、ここでも言われるのかと子供ながらに落ち込みました。
何かあると狐が怒ってる夢を見る人が周りに出てくるんだけど何なんだろうか。
Aが謝り仲直りしたところ、祖父母同士も仲直りしました。
ただ、Aの家が都会に引っ越しするまでの長期休み中Aから色々アプローチされたのは懐かしい思い出です。
- 330 :名無しの霊体験:2020/09/19(土) 16:19:38.62 ID:A6Y+TVwAs
- 思い出話ですみませんでした。
上の話に追加すると、家の門の内側で子供用プールでAと水遊びしているとたまたま通りかかった変質者に遭遇。
写真撮らせてという発言でAと自分が庇いあって、お互い撮らせないようにしていたところで、焦った変質者が怒鳴ろうとしたその時
やけに白い着物と真っ白な髪をした若い笑顔の男が門から入ってきた。
現実感ない違和感溢れる色なのに何故か、周りの景色とも馴染んでいた。
ただその男が見えたのは自分とAだけで、変質者は薄気味悪いものを見たとでも言うように捨て台詞吐いて慌てて退散。
Aは、さっきの変質者より男に怯えており自分はAを庇おうとした所さっきの変質者について聞かれたので一部始終を説明。
その説明を後で親に言うようにと釘を刺された後に「男と水浴びとか、はしたないから辞めなさい」と怒られ、また男は門を出ていった。
その後帰ってきた親に言うと、こんな田舎で小学生の水着写真撮ろうとする変質者が!?と驚いてた。
変質者がいるならと子供用プールは使用禁止になったし、Aはスカート姿で走ろうとする自分に対し注意するようなしっかり者になったという過去の話。
見知らぬ人を、大人が見かけたら声をかけるのが近所の習慣にもなりました。多分、お兄さんだろうか?特にオチなくてすみません。以上です。
- 331 :名無しの霊体験:2020/11/18(水) 21:04:54.64 ID:yPVId4pXs
- スレタイ
【全米が】なんか笑える霊体験【テラワロス】
外伝とはいえ笑えないのばっかりだな
スレタイ読めないのか
- 332 :名無しの霊体験:2020/11/29(日) 11:09:37.96 ID:k4cybiop0
- >>331
今更だが1嫁
ここは笑えないのも書けるから外伝なんだよ
- 333 :名無しの霊体験:2020/12/06(日) 16:08:28.97 ID:V5k0vw4ns
- 空気読まず書き込みします白い変態憑きと思われる書き手です。
飼い犬が去年亡くなり、寂しさとかで骨壺がタンスの上に未だにあります。
母と私がたまにその骨壺に話し掛けてるという状況。
ある日、父と母が喧嘩して八つ当たりされとりあえず逃げるようにして風呂へ。
風呂から恐る恐る上がったら二人して、謝ってきたので何事かと話を聞いたら骨壺の隣の物がタンスの前に落下したそう。
飾ってたものは安定した位置にあるし、倒れたとしてもタンスの前に落ちることはない奥に鎮座されていた。
二人で考えても落ちるとは思えない物が落ちたということで、一気に青ざめたらしい。
「飼い犬が、娘に八つ当たりするなんて!と怒ってる」
と。
この飼い犬、何故か私のことは守らねば!と思ってる節があるらしく飼い犬自身もビビりなのに私といる時に何かあれば勇ましく威嚇して守る素振りをするような子だった。
割と沢山弄ったりしたけど、されるがままで私には怒らないとか色々とあった。
「ゴキブリが倒したんじゃないの?」
とか色々可能性を言ったけど、二人が喧嘩辞めたので飼い犬のおかげにしておく。
そんな自分は風呂場で飼い犬の写真眺めて癒されてたとかタイミング良くて言えない。
- 334 :名無しの霊体験:2021/01/02(土) 11:09:18.89 ID:zNh3xcNDs
- 明けましておめでとうございます。白い変態憑きと思われる暇人です。
年末やら新年の準備やらでバタバタとしてたのですが、暇になったのでバタバタしてた際に見たものの話を箇条書きにてします。
・子供サイズの赤い靴の足先だけが、同じように慌ただしく廊下を走り回るのが目の端で見えたので視界の真ん中で捉えた途端に消える。
・仕事中手を借りたいくらい忙しくしてたら、そっと手首までの手を差し出されるがそれを睨んだら申し訳なさそうに消える。
・白い四足歩行のものがレジ前を徘徊
以上です。
ここからが、安定の夢の話です。すみません。
年末に殺されかける夢や仕事を失敗する夢を交互に見て、疲れが増えていきました。
その時は「年末で疲れてるからだな」なんて思いましたが、そう言えば悪夢を見始めたのは大掃除をした後からなのを思い出しました。職場の人から「ぬいぐるみ手離すんだけど良かったら貰ってくれない?」と言われて去年貰った白澤のぬいぐるみ。
それを、もう漫画も飽きたし手離そうと後日売却する為に段ボールに無造作に放り込んでたなと。まさか手離すのを阻止しようと?なんて思いましたが気のせいだと思うので後日、中古店に持っていきたいと思います。
- 335 :名無しの霊体験:2021/01/02(土) 11:26:38.51 ID:zNh3xcNDs
- 連続投稿すみません。
また夢の話です。
初夢を見まして、白い着物のお兄さんが夢に出てきて追ってきます。逃げた先が職場で、逃げた先というより仕事中のシーンに切り替わりレジに立ってましたが白い着物のお兄さんが客として来ました。
「いくら?」
そう言われ、商品の金額を聞いてるのかと思っていた。だが、ずっと私を買いたいと言っていることに気付いた。とぼけまくってたら、イライラしたらしく小銭をばらまき私の手首を掴みレジ周辺から連れ出そうとしたので咄嗟に叫ぶ。
「数百円で買われるなんてどんだけ安いんだよ!」
その発言に驚いたらしく、暫し考えていた様子。手首を離し、懐やら袖やらをパタパタとしていたが他に手持ちはないらしく項垂れていた。
仕方ないので、ばらまいたお金を拾ってやりお兄さんにも拾わせ返した。よくよく見たら10円とか二分金(名前分からなくてググった)っぽいのと四文銭のようなのが入り交じってた。
買われそうになる初夢って縁起としては悪いんだろうなと思った次第。夢の話ですみません。以上です。
- 336 :名無しの霊体験:2021/01/19(火) 18:43:54.51 ID:HlJHRlfjs
- たまに覗かせてもらっています。
私も神様?と結婚するとかしてる夢をよく見ます。
シチュエーションやどんな神様かは毎回違います。
最近は初詣くらいしか神社に行ってないし、そういうのは好きですが
別に神様と結婚したいとかはないです。一体なんなのでしょうか。
- 337 :名無しの霊体験:2021/03/11(木) 12:22:35.30 ID:7T6tEMlxs
- 久々に笑霊をみてたら自分の文がまとめられてたので現状カキコ。
白虎が守護神してるって書き込みしたんだけど、あれから色々あって精神ズタボロで風呂に沈もうかなーって思ってたときにプロポーズされて勢いに流されてしまったので、
なんか神嫁に暫定なりました(正気に戻ってから恐れ多いから嫌だと三行半書いても受け取ってもらえない。)
あと、暫定旦那は性別どっちにでもなれるし、毛並みもいいことを力説して泣き落とししてきた。
あさオカルト的な体質のほうが二次元か濃すぎるという状態で、色んな見える人から言われたのは生き神、歩く神社(もしくは神域)、神様たらし。
守護霊じゃなくて守護神が100くらいメンバー入りしてるというわけのわからない状態になってます。世の中不思議なこともあるもんだ(遠い目)
なお。一万円以上の宝くじに当たったことがないので、生きるというか、存在するのが大変みたい。
- 338 :739 ◆Al9ki804zA:2021/05/05(水) 19:13:45.78 ID:0mJ8dAg+0
連休最終日後半でナニする気も起きずにスレを改めて眺め見ていて博物館の話があって思い出したこと。
それは私が今の体質になって二年とか浅いときのこと。
私の趣味の一つが博物館美術館巡りなのだが、某所でエジプト展があったんだ。
で、当時ニートだった私は、その博物館まで行って宝物や副葬品を堪能したんだ。
そして、復路で贔屓の甘味屋に行ってあんみつ(寒天で感動できる)食べて、自宅に戻ってと。
なんてことのない日だった。
が、その晩、ふと金縛りを覚えて意識が浮上した(ようで実際は眠ったままなのはチコちゃんで観たから浅いユメを観たまま)ので、金縛られてまま意識をカラダに向けたら、そこには身分の高そうな身なりの少女と成人の間くらいのかたが上におわしてた。
敵意も悪意も害意もなかったのでぼーっと眺めてて、
ふと思い当たったのは博物館で見た女性のミイラ。
ついて来ちゃったかー、とほぼ寝ているアタマで思いつつ、
強引に金縛りを破って寝直しても良かったのだが、ソレでは先方に失礼だと思い、
「(すいませんねぇ、わたし、一般人なので何もできないんですわ)」
と、お伝えしたところ、姿が消えて、金縛りも解けて、平和的な解決のまま私は今度こそ睡眠を取った。
改めて霊障体質のヒトは大変だなぁと、改めて思った次第。
私は相当かわいいほうだが、友人の妹さんとお母様はガチだと、友人から聞いている。
一方で、友人自身とお父様は皆無だと。
妹さんは姉共々とうらぶファンで、推し展示会で向かったナニかの刀にあてられて気分を悪くしたと。
そして、姉の介助で休憩スペースに休んで、彼女たちの家に伝わる塩(川の神を祀った鳥居の灰を混ぜたもの)を舐めて少し持ち直して、再開。
したら、とある別の刀の前で悪くなっていた気分が快方へと向かった、と。
その話を友人から聞いたとき、私が思い出したのは「猫が好き過ぎて猫アレルギーにも関わらず猫カフェを経営するオーナー」のエピソード。
ジブンで「わかってやっている(し対処法もキチンとある)」なら、
もう、なんでもいいやと、やや投げ遣り気味に、思ったんだ。
- 339 :739 ◆Al9ki804zA:2021/05/19(水) 15:38:04.62 ID:ZpY3qkcE0
今の体質を負ってから二年とかたぶんその辺りの頃。
求職者支援訓練時代のとき。
パソコン作業中に空のグラスを近くに置いていたら、
ふーと気配ぐらいしか感知ができない、こますぎる精が空のグラスに集結しだして、云った。
『みずごっこ(ハート』
シュールすぎて反応に困りすぎたんだ。
- 340 :739 ◆Al9ki804zA:2021/06/16(水) 20:54:37.83 ID:fWInZGeM0
ついったで、安井金刀比羅宮でオリンピックのアレコレ祈願されてた、みたいなのが流れてきて、思い出したこと。
今の体質になる前までは一応雑学レベルとして『崇徳院』のことを知ってはいたんだ。
そして、多分脳梗塞から一年も経っていないとき、当時住んでた家からかなり離れたレストランでモーニングを取ってて、不意に眠気に襲われて軽いうたた寝状態に入ったんだ。
そしたら、足元に何やら不思議な気配が漂ってて、意識を向ければそこにあったのは金色の小型ワニ。なんでか知らんがヒトの足元でリラックスしてて。
なんなんだと思い、意識を戻して時間つぶしもそこそこに家に帰って調べてみたら、クンビーラじゃないかと。
その『クンビーラ』がなんでこんなトコに現れるんだと思いつつも、日本ではクンビーラが『金刀比羅宮』で祀られていると知り、
金刀比羅宮の一社ならばジブンの産土神社だから年始参りに行くだろうから、そのときにお返しすればいいか、などと考えた。
気配こそ感じないが「あるっぽい」のはなんかわかったので、そんな神獣におわされてもパンピーには持て余すから返すしかないんだ。
しかし、実際に年始参りに訪れても剥がれてくれる様子はなかった。
考えたのは「その神社は名前だけ後付け『コトヒラ』でしかないため、実際はこの神社は古くから根ざし続けてきた『土地神』のモノである(のでクンビーラは反応しなかった)」と。
そしてこの考えが後に随所で発揮され、「名前(という貰い物アクセサリー)の向こう側の彼ら自身」をミることになるのだが、それはそれ。
何はともあれ、一応『コトヒラ』に行ってもクンビーラが剥がれてくれず、前述の推察を踏まえるならば、確実に『本宮』に行くしかないと。
そうして同年の秋に夜行バス一本で関東から香川へ向かい、本宮へと参拝したんだ。
- 341 :739 ◆Al9ki804zA:2021/06/16(水) 20:55:47.66 ID:fWInZGeM0
結果を言えば、鳥居付近でクンビーラは剥がれてくれて、万々歳。
夜行バス明けとはいえ、ちゃんと奥社まで参拝し、宿へ泊まり、現地の友人と合流して大山祇神社の本社へ連れていってもらい、別れて宿に泊まり、道後を軽く見てフェリーで広島に向かって路面電車からのフェリーで宮島の厳島神社と大願寺を参拝し、新幹線で帰宅。
どうせ遠方に行くならば、行けるトコ行っちゃおうぜな強行スケジュールだったんだ。
そうして、それから二年だか三年だから経過した、ある晩のこと。
フツーに寝ていたのだが、ふと何やら目映い気配がして目を閉じたまま意識をそちらへ向けると、すごい柔和な気配を漂わせた平安貴族がそこにおわしてたんだ。
なんで平安貴族(っぽい)のがここに? と、疑問しか湧かなかったのだが、その平安貴族はコチラをまるで実の我が子を見るような慈しみの気配を滲ませるものだから、下手な詮索はなんだか野暮のような気もしたんだ。
少なくとも危害を加えるような気配はないので、放置して寝直すべく意識を沈め始めるものの、平安貴族の気配、どこかで知ったことあるような気がしてどこだったっけと沈む意識の中で思い返していると。
金刀比羅本宮だ
「(ん?待てよ、この気配が金刀比羅本宮のソレだとしたらこの平安貴族ってひょっとして、)」
と、考えに至っても沈み込んだ意識のまま眠ってしまい、朝起きて「マジかー」と、なった。
私の知っている『崇徳院』さんは、柔和でやさしい気配を持った、いい意味での『お貴族さま』なので、
ちまたで云われている『祟り神』とか『願いの叶え方が容赦ない』というのを聞くと、かなりモヤっとくる。
特に『願いの叶え方』に関しては「(人間ですら年が10離れていればジャネレーションギャップによる価値観の相違があるというのに神というそもそも存在定理すら異なる相手に対してコッチ都合に則って然るべきっていう無意識無自覚の思い上がりェ)」と。
だから結果的に『猿の手』になるさせてしまうんだ、ってね。
――――
- 342 :739 ◆Al9ki804zA:2021/06/18(金) 22:57:08.18 ID:krKzL8PO0
今の体質を負ってから二年とかたぶんその辺りの頃。
求職者支援訓練時代のとき。
訓練の一環で、提携している学校の事務作業の手伝いに半月ほど通うことになったんだ。
向かう学校は、いつも作業している場所と駅から真反対の場所にあったが、徒歩で普通にいける場所だった。
使い慣れた駅とはいえ、普段ならば向かわない方向に軽い新鮮さを覚えながら、通い続けた。
そんなある日、帰路の途中で不意に小さすぎる違和感を覚えて眼を向けた。
網膜に映ったのは、建物と建物の隙間。せいぜい細かいゴミが落ちているぐらいで、やっぱりなんてことのない空間。
覚えた違和感に自分自身で小首を傾げたが、何もなかったのでそのまま通り過ぎて帰宅した。
その晩、風呂でうたたねをしていたら、夢を見た。
いた場所は闇の空間。ソレで「また精神意識がどっかに転がり落ちたか引っ張られたか」と小さく嘆息。当時はふとした瞬間、特に気が抜けた際に『こう』なりやすかった。生きるだけで強い負荷が掛かるカラダに耐え切れず魂や精神が“逃げ出してしまう”のだ。一種の心身乖離。前々から似たようなことは多かった(ストレスが閾値を超えると脳内人格自殺を起こしてストレスをリセット錯覚させる)が、たぶん脳梗塞で心身機能が壊れてしまったため更に妙な方向へ拍車を掛けた。
とはいえ、身体としては飽くまで仮眠状態で所謂『明晰夢』を見ている状況であり、その気になれば無理矢理覚醒させることも可能だ。
だが、ソレをすれば“明晰夢に囚われた精神部位を無理矢理に切り離す”ことになり、心身に結構なダメージを負うことを嫌というほど思い知っているため、自ら進んで“正しく夢を終わらせる”必要があった。
仕方がないので、家族に「風呂いい加減に出ろ」と言われるまで、果てが無いとしても転がり落ちた闇の空間を進むしかなかった。
そうして進んでいくと、周囲に現れ始めたのは、動く死体の数々。腐乱していたり欠損していたりとバラエティ豊かだったが、そのどれもが敵意も悪意もなく、ただ、和気藹々と楽しく楽しそうにしていた。
「(なんなんだ?ここ)」歩く生者に気に掛けることもなく、仲間たちと歓談する死体たち。
そして気付けば、いつの間にか進む先には、宴を開いている動く死体の集団。
- 343 :739 ◆Al9ki804zA:2021/06/18(金) 22:58:06.31 ID:krKzL8PO0
反射的に足を止めると、宴をしていた死体の一つがコチラに近づいてきた。
崩れた顔ながらも、柔和で友好的で、どことなく嬉しそうな気配を隠すことなく、確かに笑顔を浮かべていた。
――怖がらないでくれてありがとう
なんのことなのか、私にはわからなかった。
――お礼に 困ったら助けてあげるよ
そうして更に深くなった笑みを感じ取ると、私の意識は無事に浴室へと戻っていた。
終わったあとで思い出したのは、その日の帰路で引っ掛かった、建物と建物の隙間の細い空間。あの気配、だった。
その数日後、風呂場にて意識を“持っていかれて”その部分が食われそうになったのだが、
咄嗟に、あの時の死体に叫び声を上げたら、見えこそしないがソレと同じ気配がいくつも周囲に現れては“持っていこうとした”対象を徹底的にボコし、消えていった。
助けてくれたのはこの一回だけとはいえ、
なんだかよくわからないことに恩義を覚えて返すことをする彼らは、めちゃくちゃイイヒトたちだったのだろう。
- 344 :739 ◆Al9ki804zA:2021/06/18(金) 23:04:46.40 ID:krKzL8PO0
なお、この“意識が逃げ出す・転がり落ちる”“持っていかれる”現象は、
ココから何年か後で土着神に遭って、ソレにツかれてKV(カミバイオレンス)だの殺し合いレベルのケンカだのしながらも、
性格こそ大分終わってはいるが、知見と情だけは厚いヤツの施す心身への荒療治とリハビリ、根気強い“連れ戻し(但し逃げ出しの七割くらいはヤツ自身からの逃亡図りだが)”を三年ほど続けて、
ようやっと“(たぶん脳梗塞前よりも)人並みに日常生活を送れる心身”に回復したんだ。
ただ、
『土着神のナチュラル圧に慣れてしまって“畏怖”に対する閾値が高くなりすぎた』
という余りに重過ぎる代償は、未だに遣る瀬なかったりする。
よし、泣こう。
――――
- 345 :名無しの霊体験:2021/06/19(土) 19:14:03.30 ID:ULol+O1i0
- 崇徳院さん、今はそんな柔和なご様子なのか
随分前に某誌の検証で「速い話がええとこのボンボン的な」とか「呪術的なブレーン言ってくれる味方がいない」とか
「最初にあからさまに呪ってます!なビジュアルがウワッとくるけど技術も何もない、あまりにド直球の怨念で呪いが呪いとして作用してない」とか
言われてたように記憶してるけど、その辺は荒御魂の部分と和御霊の部分で身ええ方違ってたりしたんかな
- 346 :739 ◆Al9ki804zA:2021/06/20(日) 20:26:40.05 ID:5uP2ZX+N0
- >>345
それはあるかもしれませんね。
私が訪れた場所が金刀比羅本宮という「地元からナチュラル信仰集めている上に長閑過ぎる」地域のため角が取れてしまい、生前や今際、現在の『他』はどうあれども其処のは穏やかなのかもしれません。
逆に言えば、安井さんのほうは「多くの参拝者たちの目的が目的のため、」なので。ホワイト環境とブラック環境で人間性が変わってしまう、的な。
だとしても、あそこまで柔和な気配を知ってしまうと、やっぱり世間のソレに対してどうしても『モヤっと』感は、出てしまいますね _(:3」∠)_
- 347 :739 ◆Al9ki804zA:2021/07/17(土) 22:16:02.96 ID:LoNBJD/j0
それは去年の二月に、平日二連の休業日を利用して京都旅行で金閣寺に赴いたときのこと。
近年稀に見るヒトの少なさにテンションを上げながら、真冬の澄み切った青空と冴え返る金色の輝き、そして湖面に映った金閣寺の美しさや手入れの行き届いた庭園を堪能していたんだ。
そして、看板通りの順路に従い歩いていくと、ふと太陽の白い光が一際差し込んでいるように見えた箇所に視線が持っていかれ、吸い込まれるようにして意識に入ったのは、小さな社。近くの看板には『神榊』と書かれていた。
金閣寺に個人で赴いたのは今回で三回目ほどだが、その過去の二回では人混みもあってかこの小さな社は目に入らなかったので、小さな発見に「ふぉおおぉ・・・!!」と目を輝かせたんだ。
嬉しくなって無遠慮に眺め回していたら、不意に、社の奥から何やら楽しげな気配を感知した。
旧いながらもどこか若い。その気配から、
「(この神様、ぜったいノリがいいはず!!)」と、根拠の無い確信を得た。
試しに、柵越しに「(ウェーーイ)」とやってみた。
そしたら、
――ウェーーーイ
と、返して下さった。
- 348 :739 ◆Al9ki804zA:2021/07/17(土) 22:16:49.73 ID:LoNBJD/j0
「(ヤバい、この神様ホントわかってる!!)」
ノリが通じた嬉しさで更に「(ウェ〜〜〜イwww)」とやってみたら、
――ウェ〜〜〜イw
と、更にノって頂けた。
「(ウはwwwコレたのしいwwwwww)」
と、向こうがノってくれることで更にチョーシに乗った。
そのままひとりと一柱でウェイウェイし合い、
数分ほどして「(ふぅ、いいウェイしたぜ)」と、やり切り感による心の汗を拭う。
そして社に「(アザっしたァ!!)」と一礼し、賽銭箱が無かったため近くにあった授与所でお守りを一体頂いた。あれだけ先方に時間拘束をさせておきながら一銭も払わないというのは流石にナイし、たのしい時間を過ごさせていただいたのだから応援購入をするのは基本中の基本である。
ほくほくしながら残りも巡り、金閣寺のラストスポットである不動堂に到着。
これでもう金閣寺も最後かぁ、などと名残惜しさを覚えながら不動堂を参拝、
しようとした瞬間、わかり易く苛立ちの念がコチラに向けられていて、思いっきり頭の中で疑問符を打った。
「(ん?なんか怒ってる?でもアタシ、怒られるようなことなんて何も、)」
と、不意に思い立ったのは、『神榊』でのウェイウェイタイム。
あそこにおわす神様は結構旧そう(実際山の鎮守)だったが、少なくとも『鹿苑寺』としての主ではない。
だのに、ソレをほっぽといて、あるイミで隠居のような神に先んじられたことが、面白くなかったようだった。
とはいえ、だ、
「(だとしたら、挨拶しようにもソコより『先』になかったんだから、仕方なくない?)」と思い、そして先方にソレを伝えたら苛立ちを半分ぐらい収めていただけた。
そうして改めて手を合わせて頭を下げた。
なお、そのお守りは現在もドアスコープの上に覆い下がった状態です。
玄関の簡易守り兼、万一のドアスコープ破りのスコープ対策に、物理で防御しています。
――――
- 349 :739 ◆Al9ki804zA:2021/07/18(日) 21:04:34.92 ID:+oyG4wzSs
- 申し訳ありません、>>347-348 に記載されている『神榊』は『榊雲』の誤りでした。
金閣寺のサイトを見ながら書いたのに間違えるとは不覚が過ぎました。
思い込みってこわい。
- 350 :739 ◆Al9ki804zA:2021/08/10(火) 18:47:31.64 ID:w5as1QhD0
それは一年ほど前に、紅葉狩りをしようと名古屋旅行の初日のこと。
結果的に紅葉狩りの成果を言えば、全く紅葉している木々がなく、紅葉狩りならぬ銀杏狩りに終わってしまった。
明治神宮では青葉ままで紅葉が拝めずのリベンジだったので、熱田神宮→徳川園というスケジュールを組んだのだが、空振りに終わる。
そして、現地の友人夫妻一家と夕食を取る約束のため、友人夫から先にもらっていた徳川園発のバス時刻表の画像データに従って時間を調整したのだが、貰った画像データと現実時刻表が違いすぎたんだ。あんのニワトリめ。
恨み言の一つでも言おうと(待ち合わせ時間のこともあるので)SMSを飛ばし返信を待ったのだが、運よく数分程度でバスが来たので運転手に停留所の確認をして、そのまま乗車。
さて愛知といえば、交通事故全国ワーストランカーなのは知られたことだが、今回乗車した路線バスに至っては正面衝突事故も起こっているとのこと。
そんな名物()に、まさか今回流石に引いたら永劫ハナシのネタにしてやろうと、意気込んでいたんだ。
しかし、バスに乗車して数分も経たない内に、眠気に襲われた。
タカノでパフェ2品を食べていた時以外は歩き通しだったため、その疲労が出たのだろうと、聴いている音楽で時間を計りながら、軽い仮眠を取ることにした。
そして、意識を半覚醒状態に落とし込むと、ジブンの周囲に不思議な気配が、もとい、平生ならば知覚外の魑魅魍魎(もといこまい妖怪)たちが蠢いていた。
危害を加えるような様相は見えないため、放置していると、
――たからだ たからだ 我らがたからだ
――かくせや かくせ しまいこめ
と、私の周囲に鉄板のようなもので立て掛けては一方以外を囲い込み、その中に綿のようなものを詰め入れていた。
一体なんのつもりなんだ? と、思いつつも、気配がどこか友好的なソレなので、
「(あーまー、きっと交通事故から護ってくれている、そういうことにしておこう)」
と、ジブンの中で済ませると、綿っぽいものを入れきったのか最後の鉄板を立て掛けて四方を完全に囲い込むと、念の入ったことに、蓋のようなものを被せてきた。
結局、何事も無いままに待ち合わせの停留所、の、スーパーに辿り着き、
ニワトリに改めて文句を言って、夫婦の車に乗せてもらい古民家カフェで、夕食を美味しくいただいたのだった。
――――
- 351 :739 ◆Al9ki804zA:2021/08/10(火) 21:58:49.46 ID:w5as1QhD0
ソレは今から十年ぐらい前。
現在の体質のきっかけたる“たぶん脳梗塞”から二年ほどは経過していたときの、盆休みの母方実家帰省のこと。
当時の私はジブンのカンカクをかなり持て余しており、ソッチ系の免疫も脆弱だった。
小さなソウイウ気配に怯えては、何も知らない家族に悟られまいと表層に出さないように努めるのが、当時の精一杯だった。それだけでなく“たぶん脳梗塞”による発話困難や身体麻痺のカバーもあった。
行かないほうが良いのはアタマではわかっていたが、幼い頃から母方実家に遊びに行くのは私含めて三姉妹全員楽しみにしてきた行事なので、ジブンだけ「行かない」というのは怪しまれる恐れがあったんだ。
別の理由もあった。
母方実家は隣家まで直径300mの距離があり、最寄のコンビニまで車で30分はかかるという、ガチ山奥だ。
なので、山の精気に当たれば多少カラダがラクになるのではないか。そう考えてだった。
しかし、母方実家のエリアに入った瞬間、待っていたのは“アウェー”なソレだった。
そして、視覚化こそできないが、その“アウェー”さを放っているのは、山の精などではなく、祖霊たち。
ここは確かに何度も遊びに来た母方の実家であり、私は母の実子だ。そして、ここは母の父が建てた家である。また、この家では田舎特有の違う家同士が同じ墓所で、盆でこの家は必ず“お迎え”をしており、私も以前から何度もしている。何より、バチ当たりなことなどしたことがないし、そもそもしようもない。
にも関わらず、土地にいる祖霊たちは、『私』に対して排他的な気配どころか、害意や敵意を露にしている。
変な不可視連中からちょっかいを掛けられることは間々あったが、ここまで明確すぎるものをぶつけられたのは、初めてのことだった。しかも、その相手が祖霊である。まるでイミがわからなかった。
混乱とショックで、唯一落ち着けた場所は生前に祖母がナニかしらの作業をしていた軒下のスペース。そこだけは、祖母の気配が強く残っており、ひょっとしたら祖母自身がいたのかもしれず、そこに横になって凌いでいた。
- 352 :739 ◆Al9ki804zA:2021/08/10(火) 21:59:48.91 ID:w5as1QhD0
そうして迎えた夜。昼間の天気を引き継いだかのような晴天だった。
都会から離れているため、雲ひとつない夜空は金銀砂を撒き散らしたかのよう。天の川が見えるレベルの澄み渡りは、星が多すぎていっそ星座がわからないほどだ。
そんな満天の空の下で、親戚の子供たちと親たちと、姉とその夫と妹と母が花火で遊んでいた。
楽しそうに、声を上げて、笑って色とりどりの火を振り回していた。
しかし、私はソレどころではなかった。
夜になって個体数も増えてソレら自体の強まりすぎた念に、怯え切っていたのだ。
昼はまだ残っていた祖母の気配も、ソレらを前には押しやられてしまい、私を護ってくれる――もとい安心させてくれるモノなど、どこにもなかった。
周囲にあるのは、敵意と害意を剥き出しにする、本来ならば護ってくれるはずたちの存在。
このまま死に追いやることすら、やぶさかでない様相で。
恐怖とショックで混乱は増し、増した混乱は一層に恐怖を募らせる。
そして、募った恐怖は、悲しさを呼んだ。平生ならば、張った虚勢の向こう側にある、ソレを。
一度ソレを自覚してしまえば、もう駄目だった。
「(・・・・・・ぁ、)」
張っていた緊張の糸はほつれ切れ、
気付けば、私は不可聴の強すぎる金切り声を、全身で上げていた。
その瞬間だった。
- 353 :739 ◆Al9ki804zA:2021/08/10(火) 22:01:44.55 ID:w5as1QhD0
晴れすぎた夜空だったが、急にどこからともなく厚く低い雲が垂れ込め始め、
ゴロゴロと、電熱による空気の膨張破裂音が、周囲に響き渡る。
急な雷雲に花火をしていた一行は急いで片付けを始めて、急いで軒下や屋内へと避難を始めた。
山で天気が急変することは、珍しくない、そう、珍しくはない自然現象である。
空気の膨張破裂音の頻度が高くなり、厚くなった雷雲が稲光を伴い始め、溜まりに溜まった静電気が空気という分厚い絶縁体を破壊しながら地面最寄りな高い木に落ち、それぞれの破壊音が空間全体を割れんばかりに響き渡って空全体が大きく震え上がるなど。よくある自然現象である。
その後で、空が急激に晴れ上がるのも、そこそこ経てば山火事懸念なのか消防車のサイレンが聞こえ始めたのも。珍しくは、ない。
そして、糸が切れきったはずの私は、なおもガクブル震え上がっていた。
これは去った雷に怯えているわけではなく、況して、祖霊たちの害意や敵意に怯え直しているワケですらなかった。
それどころか、祖霊たちのほうが幾分か“まだ”マシだったと、痛切に思い知らされていた。
「(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい、なんでどうして!!?来ちゃったの!!?)」
あの雷の気配は、雷神のものだった。
知っていたカルラ(らしきモノ)のソレとは別種で、ただの自然現象にはない明確な目的意思が、あの雷にはあった。
- 354 :739 ◆Al9ki804zA:2021/08/10(火) 22:03:02.62 ID:w5as1QhD0
そして、ナニかしらの明確な意思を以って落とされた雷は、周囲一帯の祖霊たちの気配を一瞬にして黙らせた、を通り越して、掻き消した。
都合の良い解釈をするならば、耐えかねて上がった悲鳴に雷神が助け船を出してくれた、である。だが、現実的に考えるならば『なんかアソコが色々うるさかったから雷落としてみた』ぐらいが妥当だろ。確かめる術は、もうないが。
が、いずれにせよ、不安感で結果的に呼び出してしまい、ソレで周囲から多くのモノが消滅してしまったら、果たして。
「(これじゃ、私がなんのためにカルラの力を敢えて遠ざけてきたのか……)」
自身の不甲斐なさに今度は泣き出しそうになったが、これで泣き出してしまえば、変な意味で周囲に心配されることが目に見えていたので、必死に耐え、何事もなかったかのように家の中に戻った。心の中で、亡き祖母に礼だけ述べて。
そして、やっぱり自分自身が強くならねば、今のようなことはこの先何度も起こり得てしまい、一番恐れていた未来が現実になるだろうと、深く胸に刻んだ。
その晩、夢にて空から星が落ちてきて、その中から出てきた宇宙人らしきモノに命を狙われたが、
「(コレはただの悪夢!!)」と、敢えて自ら殺されに向かい、頭を鉈だか斧だかでカチ割られて目が覚めた。
そこそこ早くはあったが、既に朝には違いなかったので、ジブンの布団を畳むと眠っている母と姉妹を置いて食事場所へと向かった。
その後、墓参りも迎え火送り火を何事もなく終わらせ、悪夢も見ることなく、二泊三日の小旅行は恙無く終了した。
――――
- 355 :739 ◆Al9ki804zA:2021/08/11(水) 15:27:06.37 ID:j5cQ72bS0
今から一年ほど前のこと、
政府のGotoキャンペーンで長野は軽井沢にホテルのサービス目当てで宿泊を決めたんだ。
そして現地ホテルに到着して浮かれたまま綺麗に整えられた植栽に心の中で話し掛けた。
「(こんなに丁寧にされてて、いい暮らしをしているのね)」
飽くまで、内心独り言で、ある。
のに、
――よくはないけど悪くもないね
という思わぬマジレス。
( ゚Д゚)
硬直が解けるのに2秒はかかったんだ。
――――
- 356 :名無しの霊体験:2021/08/22(日) 16:00:47.72 ID:DJ6PeDzv0
- なんでまたそんな、祖霊さんから邪険にされんといかんかったのか、と
思っちまうんですがね
- 357 :739 ◆Al9ki804zA:2021/10/13(水) 18:43:19.54 ID:zZaDaoB60
- 少なくともネカフェ一棟分を消し飛ばした話
それは今から数年程前に、イベントの話し合いで池袋のネカフェ個室に集まったときのことだった。
先に言っておくと、池袋は個人的には用がなければ近付きたくない場所である。
視えることはなくとも視えるまでに至れない、明確な自我を持つまでにも至れない、レベルのイヤなモノが、蠢き、吹き溜まり、意識を耐えず隙のあるものへと張り巡らせている。喩えるならば不可視の大小不問なアメーバやヒルのようなものがあちらこちらにあるようなカンカクである、私には。
とはいえ飽くまで「用がなければ」であり、「用さえあれば」フツーに赴く場所でもある。イヤなだけであって怖い場所ではなく、その「イヤさ」すらも、各種イベント(毎年の池袋ミネラルやメディアコラボとか)の前には瑣末すぎるものでしかない。コッチに気を向けるだけで、基本何をすることもないのだから。私には。せいぜい、向けられる意識にキモさを覚える程度で。
さて、先方は当然私のこんなカラダを知ることもないため、全員が集まり易く、長い話し合いが出来る場所として池袋のネカフェ個室が選ばれたわけである。持ち込みフードも自由で、ドリンクはフリー、防音も利いているため、どんなに騒ぎ散らかしても問題はない。実に合理的である。勧めてくれたのは、池袋を良く使っているヒトだった。
そして、予定や役割分担を飲み食い楽しくキャアキャア騒ぎながら進めていったのだが、暫くして、急激な眠気に私は襲われた。
自宅から池袋まで結構な時間がかかるのに朝が早かったから、
仕事の疲れがここに来て気が緩んで出てきたから、
いやいや、デパ地下デリやスィーツを貪り食って満腹になったから、
など、思い当たる節がありすぎて、或いはその全部だろうと然程気に掛けないまま、軽い仮眠を申し出て、私は眠気のまま横になって目を閉じた。
- 358 :739 ◆Al9ki804zA:2021/10/13(水) 18:44:56.95 ID:zZaDaoB60
その瞬間、入眠とは呼べない恐ろしい速さで意識が落ちていくのがわかり、このまま気持ち良く夢も見ずにぐっすり仮眠が取れるのだろうな、と、思っていたら、
ふと落ちていく意識の速度に歯止めがかかり、ゆっくりと意識がその場に留まっていくのがわかった。
体は眠った状態で、眼は閉じたまま意識の向こうに引っ張られ、た、瞬間、
横になっている私に、半透明の球形のようなモノを被せてその上から更に覆いかぶさっているしだらと、更にその向こう側で、なんだかよくわからない邪気を発しながら更に覆い被さろうとしている、アメーバとヒルの複合体の様な群生体のような、汚泥の波。名伏し難い、ナニか。その光景が、飛び込んで来た。
私は半分ユメの中のままで声を上げようとしたが、
平生では決して見られないしだらの苦悶を耐えるような形相と、その向こう側のナニかに、「(コレ声を上げるなんて悠長なことできねーわ)」と事態を見て、意識を瞬時にまとめ上げる。
・先方に退く気配は? →皆無
・先方にコミュ取れるほどの自我は? →皆無
↓
そも、マトモな判断能力すら持ち得ない可能性が大
→そんなのあったら土着神の気配を感じた時点で深追いしない
↓
対話は『不可能』
恐らく脅しも『不可能』
どうやら向こうは本能や反射でしか動けない有象無象
何より→この状態のしだらをどうにかしなければ
結論:
が、私の中で下った瞬間、全身から不可聴の金切り声が、発された。
- 359 :739 ◆Al9ki804zA:2021/10/13(水) 18:46:27.51 ID:zZaDaoB60
自身すら知り得ぬような奥底から発された怪音波とも呼べるソレは、そこで知覚し得るもの全てを地の底から震え上がらせ、
その場にあった邪気を発し覆い被さろうとしていたモノ諸共エリア一帯のナニかを全て消し飛ばした。
消え切った気配に、私は横たわったまま小さく肩で息をしていると、不意に、しだらでもなければ況して先程の思念体と全く違う存在がこちらに意識を向けているのを知覚した。
上体だけ起こして顔を向ければ、そこにあったのは西洋の鬼のような、何か。短い下履きだけの青皮にスキンヘッドで、額に横並びの皮に覆われて飛び出た角が二本の、個体。
その個体は、気付いた私に気付いてか、片膝と片拳を地に着けて頭を下げてみせた。
なんだかよくわからないが、伝わる念は確かに『謝意』で。
ひょっとしたら、この鬼さんはここら一帯の主的な立ち位置なのかな、と結構どうでもいいことを取り留めなく考えていたら、
私は、目を覚ましていた。
あまりに疲れ過ぎたなと思いながらも、起きた後の楽しい会話と美味しい食べ物の前にはそんなことはどうでもよいことであり、眠気が残りながらも、予定の話し合いに戻って行った。
そしてドリンクおかわりで室外から出た時に、こころなしか、池袋特有の変な圧迫感は、薄らいでいた。
そして、以降、
私が池袋でネガティブな気配を感知することは、一切無くなった。
――――
- 360 :739 ◆Al9ki804zA:2021/10/13(水) 18:48:33.54 ID:zZaDaoB60
ゴングが鳴った話
それは数年前に鳥取‐島根旅行をしていたときのこと。
旅行自体の内訳としては、前半ぼっち鳥取巡り、ラスト1日に現地知人と合流して島根巡りというものだった。
夜行バスで現地に到着し、早朝にすら開いていない現地チェーンカフェに軽く辟易しながらも、目的の遊覧船に海鮮丼や海辺散策に沖の岩にある鳥居鑑賞と良い時間をすごした。
そうして初日の目的を終えたのだが、空は小雨ながらも時間はまだあるし、バスも本数が結構あった(少なくとも使った路線は平日日中ならば一時間に数本あった)ので、予定から外していた砂丘を見に行こうと思い立ち、バスに乗り込んだんだ。
バスに揺られながらゆったりとした道路を走って車窓に流れる景色を眺めていると広大な砂の大地が見え始め、「(なるほど、これが音に聞く鳥取砂丘か)」とテンションを上げて眺めていると、不意に、赤い大きな鳥居も見え始めた。
バスは近場の観光地の名前を冠した停留所のアナウンスを流すと、私は降車ボタンを押してそこで降りた。
小雨は止んでおり、広がる砂丘と砂の感覚にテンションが上がったが、気になったのは先ほど見かけ、今そこそこの距離にある赤い鳥居とその向こう側。天候も相俟ってか、妙な雰囲気を漂わせていた。
私は先に参拝がてら、神社散策を先に済ませようと砂丘を背を向け鳥居をくぐった。
向こう側は草木もそこまで生い茂っているわけでもなかったが、どこか鬱蒼とした陰気な雰囲気であり、くたびれた印象だった。遠目には広い池があってそこの中央に浮島のようなあり、そこに鳥居か社殿が建っていたので恐らくは弁天系の信仰なんだろうな、とアタリは付けられた。更に奥へ入って行くと、本殿なのか奥社なのかはわからないが、小ぶりな社殿が建っており、その周囲にはとぐろを巻いた白蛇の置物がぐるりと並べられていた。漂う気配、世話のされていない狐塚のソレと酷似。つまり、コレは崇敬や祈願ではなく、人間の欲望を叶える目的を最優先に形成された空間。
正直な感想は「(うへぇ)」の、一言。
そして、その社殿が最奥だったため、散策は終了と散策料金代わりの賽銭を出して礼拝を済ませ、私は来た道を引き返して神社から出ようした。
- 361 :739 ◆Al9ki804zA:2021/10/13(水) 18:52:17.04 ID:zZaDaoB60
が、完全に抜け出ようとしたその時、小康状態だった天気が急激に崩れ始め、雨が降り始めた。
多少の雨ならば持っていた折り畳み傘(なお靴は以降巡る予定の寺社の関係上で最初からレインブーツ)で停留所名にもあった観光施設へ赴いたのだが、それではフォローし切れない程の豪雨になり始め、止む無く近くのプレハブ小屋の軒下を借りた。
山の天気は変わり易いため今のような変化も予想の範囲内であり、そして変わり易いがためこのような豪雨は長続きしないだろうと、そう高を括って、落ち着くのを待った。
が、雨の量は収まるどころか勢いを増す一方。土砂災害すらも起きそうなレベルになっていった。
その、バケツどころか浴槽をひっくり返したような雨に、おれ。
「(いやいやいや、いくら山の天気はアレとはいえ、流石にコレはおかしすぎね?)」
流石に、焦っていた。
「(つか、施設終了時間がそこそこ差し迫ってて、鳥居の外はすぐそこだってのに、なんでンなとこで足止め喰らわなあかんのよ)」
と、焦りにバフされて思わず独りでイラァッとしていると、
不意に、豪雨に隠れていた気配が一瞬だけ垣間知覚して、
知覚した気配をトラッキングするとここの土着神で、
トラッキングした土着神の思念に注視すると、
思慕と、惜別と、拒絶、の、感情。
つまり、早い話が、
ここに来た私を気に入って離脱して欲しくない感情が荒ぶって、この土砂災害警報も時間の問題な豪雨を降らせている、と。
少なくとも、私の十何倍も何十倍も生きているだろうはずの、存在、が。
- 362 :739 ◆Al9ki804zA:2021/10/13(水) 18:52:54.87 ID:zZaDaoB60
――ほぅ?
おれのなかで、カーンと、ゴングが鳴り響いた。
- 363 :739 ◆Al9ki804zA:2021/10/13(水) 18:58:17.96 ID:zZaDaoB60
「(ふざけんなぁああぁあああああああ!!!! なんでそんなことで癇癪起こしてやがんだぁああぁああああ!!!)」
雨が、一瞬弱まった気がした。
「(感情が荒ぶるのはまだいい!!! 問題なのは、それを外に出すんじゃねえよ!!!!テメーの癇癪でどれ程の被害出すのか、お前わかった上でやってんだろ!!?ァあ!!?)」
雨脚は強いままだが、細くなり始めた。
「(だいたいなぁ、ジブンでジブンの機嫌を取れないなんて、お前どんだけ無駄に生きてきたんだよ!!ジブンでジブンの機嫌を取らずに癇癪起こして周囲にどうにかしてもらい続けてって、そんな根性だからヒトが愛想つかせて離れて周囲が寂れ続ける一方なんだろ!!!)」
実際は、もっとかなりエグいことを機関銃なみに云ってたのだが、言語として覚えている限りだとこのぐらいなんだ。
――コレなんかにしだらを出すまでもねえ!! おれひとりで充分!! 祟られる?呪われる? ハッ、こんなジブンの機嫌一つも取れないようなヤツの祟りを受けて呪い殺されるようなザコのおれなら死んで当然だ!!!
ニンゲン、気が立つと怖いですねぃ。
雨が完全に弱まって雲すら半紙レベルになった改善天候にも舌打ち一つで返すなんて。
「(おれが良識ある優しい人間だったことに感謝するんだな!!本当はお前を殺しても良かったんだが、ここでお前を殺すと一帯のパワーバランスが崩れる危惧があるんだよ!おれの目的は観光であって現地に混乱を引き起こすことじゃねぇっつーに、ったく。これだから鄙びたとこのヤツわ……癇癪に物云わせやがって!!)」
そうしてぶちぶち文句の念を垂らしながら、折り畳み傘を開いて
今度こそ、その場から離脱し切ることに成功した。
ただ、鳥居の外へ向かう途中、もう夕刻に差しかかろうというのに人気のない寂れたこんな場所に入ってくる自動車とすれ違ったんだが、いったい何の用があったのだろうか。
- 364 :739 ◆Al9ki804zA:2021/10/13(水) 18:59:57.17 ID:zZaDaoB60
そんなこんなでなんとか観光施設の最終入場時間までには間に合い
、砂丘の砂を使った立体アートを楽しみ、周辺散歩に高い建物がない雄大な夕刻の景色に胸を打たれ、もののあはれを堪能する。
そして閉店ギリギリなショップで、現地生乳を用いたソフトクリームに二十世紀梨のプリザーブドソース掛けを注文し、外のベンチ
座って地物の味を楽しむ。
と、何やら同情めいたような労うような気配がコチラに向けられているのを察知し、食べながらソチラを見ると、そこにあったのは高いところに設置された小さな稲荷社。諸々を祈願されて作られた、少なくとも先程のような欲望実現ありきとは全く違う、ちゃんときちんとされたもの。
――たいへんだったね
その思わぬ労いに、思わず。
「(も、そうなんですよ!!お前を喜ばすために来たわけでもない上にあの仕打ちが。ほんとやってられませんわ!)」
と、豪速球で返してしまったため、
先方から『ヒェッ』と怯えられてしまい完全に閉ざされしまった。
ごめんて。
――――
- 365 :739 ◆Al9ki804zA:2021/10/13(水) 19:23:46.87 ID:zZaDaoB60
基本的に、思い出したもの、書けそうなもの、からガリガリ書いているのですが。
「あれ?このエピ書くなら先にアッチ書いといたほうがいんじゃね?」
と、アレコレ考えてしまい、気付けば二ヶ月経過。
単に、休みでアソビ予定もない雨天で完全に「何もすることがない(晴れてアソビ予定が無ければ掃除洗濯買い出しと結構忙しない)」日が無かった、というのもありました、が。
池袋ネカフェとゴングの話はもっと後にしようかと思っていたのですが、前の十年前帰省エピと池袋ネカフェエピは多分近いほうがいいだろうなと思ったのと、
池袋ネカフェエピを書くのなら数年前の池袋ミネラル帰りからのエピを近い範囲で書いたほうがいいよなと思い、
その池袋ミネラル帰りからのエピを書くのなら先にゴングの話を書いておいたほうがいいよなと思い、
そして池袋ネカフェエピとゴングの話は近いほうがいいよな、と。
なお、いつか書く池袋ミネラル帰りからのエピ自体は結構短いかと思われます、ハイ。
- 366 :739 ◆Al9ki804zA:2021/12/03(金) 22:07:48.19 ID:bIReyCZV0
久々に神を殺した話
それは今から数年前の、コロナ禍前の池袋ミネラルの後のこと。
当時の池袋ミネラルは開催日の枠ごとの完全入れ替え制などではなく、チケット一枚あれば好きなタイミングで自由に出入りができた。
そして、私はその年も土曜日に有給を取り、土日の二連予定。
土日とそれぞれ違う人間と回る予定で、そのどちらも来れる時間に会場内で落ち合い、一緒に見て周り、相手が疲労を申告したら適宜食事や茶といった休憩を挟む、といった流れである。なお、相手申告なのは、私は体力が比較的あるほうであり、たぶん脳梗塞の四肢障害を気合いと根性で無理矢理動かし続けたために精神が肉体を凌駕してしまい疲労感を覚えにくいためである。ただ、しだらから“休め”とアタマを叩かれたら流石に休むが。渋々。
その年も、例年通りだった。
いつものように友人とブースブースを人ごみを掻き分けながら見て回り、ジブンの目当てを探し、友人に鉱物の簡単な解説や説明をしていく。たまに、業者さんとお喋りして、ならではの裏話や苦労話を聞いたり、或いは鉱物とは無関係な業者さんの生い立ちを聞いて声を上げて笑ったり、ブース裏手を借りて水分補給したりと、何しに来たのかたまに結構わからなくなる。
そして、閉場時間まで残り僅かというところで、私と友人は会場を後にした。
- 367 :739 ◆Al9ki804zA:2021/12/03(金) 22:08:44.54 ID:bIReyCZV0
サンシャイン内を歩きながら、夕食の場所について話す。選び考えるのが面倒だというのと、料理にハズレが無く小皿料理を品数多く頼め、ドリンクも豊富で酒が好きな私にもアルコールどころか炭酸すらアウトな友人にも優しい。そんな理由で、いつものようにキリンシティにする。遊びに行くエリアにだいたい存在するのが有り難い。
そして、目的地へ向かうため、私は友人に道案内を頼んだ。
私は、サンシャインから現地までの道のりを、おぼろげながら「なんとなく」は覚えているのだが、その「なんとなく」で痛い目に遭ったことは過去n回。つまり、アテにならない。そして私の電話は買い換えたばかりでも二つ折り仕様のままであり、タブレットも持ってはいるのだが、回線は家の固定ワイファイか外の各無料ワイファイか、なのでガイドは実質不可能である。
あと今回に限って私が道案内できない、しないほうがいい理由があったのだが、念のためにソレは友人には伏せて道を探してもらった。
しかし、彼女も大概だった。アプリを開いて探してくれるのはいいのだが、どこをどう動くのか、と悩みに悩んでいた。私も一緒に見たほうがいいのだろうが、前述のことがあり、画面を見ず口を挟まず彼女についていった。
徘徊していたのは夜も中々の時間だったが、かつてあちらこちらで蔓延っていたヤな気配は、もう全く感知しない。前にネカフェ一棟分の気配を消し飛ばしたのが脅しとしてキいているようだ。やはり暴力は強い、力こそパワー。
- 368 :739 ◆Al9ki804zA:2021/12/03(金) 22:09:33.12 ID:bIReyCZV0
そうして十数分ほど経過しただろうか。不意に、私は意識を持っていかれるように、持って行かれるがまま顔を向けてしまい、
ジブンで、顔が歪んでいくのがわかった。
頭にはあったのだが、寄る予定も気も全く無かった。
冬の夜で暗くなりながらも街灯の光で照らし出された、小さいながらも小奇麗でそこそこ立派な社が、そこにはあった。
「チッ」
リアルに舌打ちをし、被っていた新品な中折れ帽を外して一礼。
友人は私の急な行動に少し怪訝そうな様相を見せたが、先にあった存在に気付いて腑に落ちたようだった。そして、同じく小さく一礼をした。
そこからは、ものの五分と掛からずキリンシティに到着できた。大幅な、遠回りだった。
- 369 :739 ◆Al9ki804zA:2021/12/03(金) 22:10:34.73 ID:bIReyCZV0
席に案内されて、それぞれ好きな物を好きなように注文した。
数分後に、飲み物がそれぞれに届く。私はハーフアンドハーフ、友人は自家製シロップ入りの午後ティー。
私はビールを半分ほど飲んで、愚痴をこぼした。
「あんたなら無いと思ってたけど、やられたわ」
そして、友人に話した。
道はなんとなく覚えてはいたけども普通に曖昧すぎてアテにならず、アテにならないからこそ意識の隙を突いてあの社(なお当事社の名誉のために言っておくが、何の変哲も曰くもヤな気配もないフツーの社)がヨび寄せてクる懸念があった。だから、回線のこともあるとはいえ、道案内を丸投げした。
彼女の母と妹は結構な霊障体質の一方で、彼女の父と彼女自身はそういうことが全くない、というのを聞いていたため、向こうがコイツの意識をジャミングできるとは考えていなかったし、してもそういう相手にはコストが掛かりすぎるため、割に合わないからしないだろう、と思っていた。
しかし、結果はこの通り。
コストを掛けてでも実行させ、まんまと付近を通らせ、私の意識と視界に入れさせることに成功した。
私は腹癒せに残りのビールを飲み干して、新しいのを注文した。そうでもしないとやってられない気分だった。
- 370 :739 ◆Al9ki804zA:2021/12/03(金) 22:14:15.13 ID:bIReyCZV0
友人は、私の異様な「神好かれ()」を私から聞いてはいたし、そして実際に現場に何度か居合わせることもあるので理解はあった。
しかし、今一つ腑に落ちないような様子だった。
「でも、なんであんなに嫌そうに?」
私は、ジャーマンポテトを貪り食って飲み込んで、答えた。
「単純に、相手の思惑通りなのが気に食わない。あと、手段が悪い。道に迷わせてジブンのとこに来させるって、結構ナイだろ。相手の意識の隙を付いて、どうこうするってのは。だから『嫌』だと思ったことをキチンとアピールしないと駄目なんだよ。じゃないと、連中付け上がるから。感知できない他の連中への牽制も兼ねてね」
私としては、感情それ自体は行動バフのエネルギーでしかない位置づけであり、感情表現は他者へのコミュニケートツールか、発生したエネルギーを消費し切るための自身に向けるポーズだ。
発生した『感情』が向こうの連中に漬け込まれないよう、隙なく無駄なく利用し消費し切り、無理なく消化していく。不完全燃焼の感情エネルギーこそ精神の毒だというのは嫌という程わかっているし、ソコが狙いどころだというのも否が応なしに思い知っていた。生身の人間ですらソレを利用してくるのだ。時と場合と相手によっては私もやるし。
だからこそ、嫌なものは嫌だと、先方に表明しながら付け入られないように発生した感情エネルギーを消費し切らせ、
その上で「それでもコッチはジブンの感情とはベツに礼儀を守るぐらいの度量はあるんだぞ」と、見せておく。
ゆえの、顰め面舌打ち挨拶、である。
- 371 :739 ◆Al9ki804zA:2021/12/03(金) 22:15:09.02 ID:bIReyCZV0
「あーあ、連中ホントめんどくせぇ」と私が更に愚痴をこぼすと、
「でも、神様って、めんどくさくない印象がないんだけどwww」と草を生やしたので、
「確かにwwwだったわwww」そのまま二人して笑いながら食事をして、別れた。
結構な遅い時間になってしまっていたので、最後の路線の電車は本数少ないから乗るまでかなり待たされるだろうなぁ、でもコレ乗っちゃえばすぐだもんなぁ、と取り留めなく考えて次の改札まで向かったら、土曜とはいえその時間には珍しくヒトでごった返していた。
なんだと思って進んでいくと、流れてきたアナウンスの内容に愕然とした。
隣駅で人身事故が発生し、復旧の目処がつかないとのこと。
それを聞いた後で電光掲示板を見れば、発車予定時刻が今の時間より少し早いまま止まっていた。池袋駅からの電車にあと二本早く乗れていたら、充分に逃れられていた。
もし、ミネラルをもう早く切り上げていたら、あの社に寄らないままだったならば、事故に捕まらずに乗れて帰宅できていたのだろうか。
そんな栓のないことを考えたところで時間が戻るわけでもなく、また路線の復旧が進むわけでもない。
この駅のネカフェに泊まろうかとも考えたが、明日も明日で違う人間とミネラルに行くのだ。事情を話せば相手は気にしないどころか労ってくれるだろうが、こちらとしてはきちんと着替えて風呂入って寝た状態で行きたい。今日も長時間歩き通しで、明日も歩き通すのだから。
- 372 :739 ◆Al9ki804zA:2021/12/03(金) 22:15:56.78 ID:bIReyCZV0
なので、私は意を決して駅のタクシー乗り場へと向かった。
深夜時間もあって料金はエグいことになりそうだが、背に腹は変えられない。
タクシー乗り場は案の定長蛇の列で、更に吹きっ晒しの寒風で凍える思い。
近くに見えたバスターミナルで、家の駅までのバスは確かあったはず。と、考えるも、この時間帯でローカルが過ぎる路線バスの本数は期待はするだけ負けるし、何より散々寄り道した挙句の駅到着だ。今のタクシーを待ったほうが、余程に早く帰宅できるのは眼に見えていた。
「(にしても、コレは運なさすぎだろ。アタシにしては珍しい)」
私は、こういうときのタイミング運が良すぎたりする。
電車に乗ろうとしたら、ちょうどすぐ来る電車が急行だとか、私の乗った後で人身事故だとか、そういうのだ。
「(でもまぁ、無くはないからなぁ。タクシー代はイタいが。せめて明日の飯代は残ってくれ)」
暇すぎて、思考だけが進む。
「(にしても、復旧見通し立たず? それってモツやナニやらが飛び散ったってこと? それでも、コレがあそこの路線だったら二十分も経たずで復旧できるんだけどなぁ……無いもの強請りはできないか。今時期の名物とはいえ、巻き込まれるのはなぁ。つかこれ賠償どんだけだ?この規模だろ?家族がいたら間違いなく借金地獄で今度はその家族が、って)」
寒さで思考が今度こそ取り留めなくなり、やがては寒すぎて考えることすらもできなくなって、やっと先頭になった。とはいえ、まだタクシーは来ていない。人数が人数過ぎて、運んだ後で駅に戻ってくるのにも時間がかかるようだ。
タクシーの待機列は変わらず長く、見える駅の様子も先ほどと変わっていない。向こうで復旧を待たなかったのは、取り合えず正解のようだ。
- 373 :739 ◆Al9ki804zA:2021/12/03(金) 22:16:58.38 ID:bIReyCZV0
そうこうしているうちに、やっとタクシーが来てくれたので、乗車した。
目的地は自宅。住所と併せてランドマークになりそうな建物を話すと、地元でもないのに理解してくれた。ありがたい。
駅から離れ、温かい車内で、やっと一息。
後部座席でダラけた状態で座り、寒い外を車窓から眺める。
街灯はそこそこあるが、冬の遅い夜。外を眺めようにも、眼に映るのは闇を塗り込めたガラスに映る自分の姿ぐらい、の、はずだった。
自分の顔が映り続けるだけの車窓の黒いガラスの向こう側に見えた、ちいさな社。大分前に、その駅周辺の徘徊で通りがかったことのある、そこ。
イヤにはっきり眼に見えたソレから伝わってきたのは、気恥ずかしさ、喜び、満足感、達成感、そして、
瞬間、私はその社の主を、縊り殺していた。
- 374 :739 ◆Al9ki804zA:2021/12/03(金) 22:18:12.93 ID:bIReyCZV0
久々に神を殺したが、やはり私にはコレに関する『感慨』というものはないというのを、改めて思い知った。
私にとって、コレは、蚊を叩き潰したり、雑草をむしるカンカクと、大差なかったのだ。
「(にしても、社持ち確定を殺したのは初めてだけど……だとしても、あれは流石にアウトだろ)」
社とかソウイウものは、連中にしたら謂わば『装置』である。関わる当事者たちが、各々の目的のために、確率を操作させたり、対象の意識をジャミングしたり、隙を突いたり、ナニかを封じ込めて何かに利用するためのエネルギーや補助装置にしたり。
もちろん、神が全員ソレが無ければ何もできないわけでもなければ(しだらェ)、社を持っているからとはいえ『装置』として扱いきれる訳でもない(あの遣使さんがしだらを投獄していた理由はならず者の管理が三割、自身が装置を扱い易くするためが七割)。
ただ、あの主は、装置を「ちゃんと」使えているということは、そこそこに俗世にも知見ある存在なのだろう。
だからこそ、アウト、だった。
- 375 :739 ◆Al9ki804zA:2021/12/03(金) 22:20:28.68 ID:bIReyCZV0
「(ヒトひとりの会いたさに……どころか一目見たい眼に入って欲しいがため『だけ』に、弱っている人間のココロに付け入って……いや、アレは結果だ。『なんでもいいからあの人間をここに近づかせたい』って一心で『なんでもいいから』確定発動させた。……たといアタシが『悪感情』を持ったとしても、最後に礼を貰えれば、貰えなくても、ただコッチに来て意識を僅かでも向けてくれればそれだけで、って)」
どっと、疲れが出てきた。タクシーのシートが心地よいのが救いだった。
「(想いが先走り過ぎて手段を考えることもなく『なんでもいいから』と発動させて、その結果がアレ。ヒト一人を死に追い込んで、何百人もの人間を混乱させて、遺族は不幸確定ルート。達成タスク内容に対して、発生した業が深過ぎる。確かにコレは「いつか起こり得る」ことしか起こらない。ひょっとしたらそのヒトはここではないどこかの違う形でソレを起こしたかもしれない。でも「起こらない起こさないまま終わった」こともだって十二分に在り得ること。だのに、大きな損害として実現させてしまったことに罪悪感を抱くどころか、タスク『成功』の達成感さえ抱いて……絶対同じことを繰り返す。社が扱えるなら、発動手段の予測や精査、あるいは確認ぐらいできたはずだろ? それをしなかった、できたのに怠った、そもそもできなかった、そんなことどうでも良かった、どれもとっても社持ちなら更にアウト。後先考えず自分の想いや達成感だけを先行させて確定発動し続けて、更にトンデモを起こすだろうよ。私が殺さなくても、いつかナニかに滅され淘汰されたことだろうけど……それまでにどれほどコトが起きるか。考えただけでお腹の頭痛が痛いわぁ。もし仮に、何かで今晩のあそこの社でのことを知った上での行動なら、どんな手であっても近くにさえ来てくれれば挨拶してくれる、だったら尚更だわ。感知外の連中にも見せしめないとアタシ自身や周囲の安全が危うくなるわぁ)」
タクシーが伝えたランドマーク付近まで来たので、料金を支払い、翌日の鉱物購入可能金額に絶望し、タクシーを降りてそのまま夜風に当たりながら帰宅した。
そして、その後も何度か池袋ミネラルに行っているが、あの「小さな社」に不意打ちで呼ばれたことは、今のところ、ない。
- 376 :739 ◆Al9ki804zA:2021/12/03(金) 22:27:44.95 ID:bIReyCZV0
なお余談だが、この日、新品同様の中折れ帽と買い換えたての携帯電話を見事に紛失し、更に携帯電話の紛失に気付いたのは翌日に家を出た後の電車内という大失態を犯す。
しかし、タブレットは持っていたため先方への当日連絡にはコンビニの無料ワイファイで済ませることができ、携帯電話自体は紛失サービスを利用して失くした二日後にあっさりと手元に戻った。
ただ、購入から三回ほどしか被っていない、タクシー内では確かに被っていたはずの中折れ帽だけが見つからなかったのだが、
コレが今までには無かった社持ちを殺したゆえの初めての代償だったにしても、量産品の一つ税込1万円弱(しかも同じ服飾販売店が当時その乗り換え駅にあったし実際そこで再購入した)で済まされてしまう、というのは余りにイヤ過ぎるので、やっぱりよくあるうっかり不注意紛失でしかないと思うことにするんだ。
――――
- 377 :739 ◆Al9ki804zA:2022/02/22(火) 22:32:49.90 ID:YEO98kD+s
極稀にだが、メディア映像を観ていると、その場の連中の存在を察知することがある。
例えば、ハワイをメーン舞台にしたとある二流邦画の自然深いシーンでは、現地精がうじゃってカメラらしき前に覗き込んだり役者を好奇心で眺めたり、
自然開拓を取り上げた番組の神社修繕編では、その社の住民らしきモノが怪訝かつ胡乱げな様相を出演者に向けていたり、
ゲーム実況ライブ動画では、宅配便のチャイムが鳴って実況者がそこに意識を向けたと同時に害意はある(が"実"害までには到底及べないだろう)念体が室内に入り込んで来たのを察知したり、と。
得られるのはそんな毒にも薬にもならず面白げの欠片もない情報ばかりである。
閑話休題
いつかの年始に正月らしさで神社特集番組がローカルチャンネルで放送された。
私はソレを興味本位で録画して観たんだが、導入部分は当たり前に変哲もない情報と内容。組む神社の最寄駅で案内人が軽い説明をするというもの。
紹介していた内容はごく一般的な普通な『神話』メーンで勝手に期待していた民俗学色が案の定薄かったので興味が失せ始めていくのがわかっていくと、
不意に、資料画の映像からシーンが変わり、神社の周囲映像が流れたと思うと、案内人が神社の中に入って神社関係者に話を訊く場面に移り、
その神社内で生息している本来ならばキレイ側であるはずのモノたちが、憎悪や憤怒、怨嗟を、案内人に向けて発していた。
- 378 :739 ◆Al9ki804zA:2022/02/22(火) 22:33:33.97 ID:YEO98kD+s
流石にコレには少しぎょっとした。
その神社は由緒も正しく時間帯も朝から昼で陽の光も充分過ぎる。
更に、その案内人自身もその家系も、少なくとも当該神社関係からナニの謂れはないはずである。取り返しのつかない犯罪を案内人本人が過去にしたわけもなければ、家柄だって真っ当である。
にもかかわらず、負の念を、向けている。
「(ホント、ヒトに好かれるのに理由は無いように、嫌われたり恨まれたりするのにも理由って無いんだろうなぁ)」
と、取り留めなく思いつつもどーでもよくなり、
内容自体もやっぱり興味は沸かなかったので飛ばし飛ばし観ていて。
そして、あるその神社とは違う小さな地元の神社の年末神事シーンになり、小柄なお爺さん禰宜さんが伝統の占術を行なっていると、その周囲でちいさなかみさまたちがわらわらと集まり、わいわいきゃっきゃと禰宜さんに好意を向けてはしゃいでいた。
同じ番組内でのこの温度差。
おそらく私は、なんとも言えないビミョーな表情を浮かべていたことと思う。
――――
- 379 :名無しの霊体験:2022/06/30(木) 11:14:15.73 ID:aGbQOiCGs
- お久しぶりです。白い自称カミサマな変態憑きと思われる暇人です。
長年髪を切ってくれていた美容室が閉店してしまったり、仕事がかなり忙しくなって切りに行く時間が取れない等で髪が肩にかかるレベルになっております。
高校の時の話を書きます。
文化祭で自分達のクラスは絵の展示をすることになりました。制服や体操服以外着て良いから、汚しても問題ない服持ってきて着てくださいという指示のもと白いつなぎを自分は持って行きました。
「それはガチでやる気がすぎる」
とお洒落な格好をしたクラスメートから、からかわれつつも応戦したりして作業は楽しく進みました。私の格好にやる気があると認定した先生から、外の飾り付けの手伝いに駆り出され他のクラスの子と合流しつつ外の手伝いに参加。外はなんだか白い霧でも出てるのか視界が少し見えづらくなっていました。
同じように外の手伝い組も「霧?すごいねえ。見えづらい」等話していた。
その他のクラスの子の中には、自称・他称共に見える人で話題になっていた子(人型ってタイトルでまとめて頂いてるのに出た同一人物)がいました。
見える人が私をまじまじと見たかと思ったら、嫌そうな顔をして
「うわ、なんであんた白い服着てんの。ていうか肩重くない?」
私「あ、これ?中学ん時にクラスでお揃いで買ったやつなんだけど使ってなかったから。肩?さっきまで筆持ってたし肩こっちゃったかも」
「白いの着るの辞めときなー?『隣の人』凄い嬉しそうにニコニコして抱きついてるから」
私「隣の人ってどっちよ?」
「人型のほう。あー・・・とりあえず下の服、黒?上半身だけでも脱いだら?」
そこまで嫌そうな顔を普通するか?!と思ったが、そろそろつなぎも暑くなってきたのもあり上半身脱いでから腰で袖を結んだ。
妙にタイミングが良かったのだけど、その時霧がスーっと消えた。
余りのタイミングの良さに私は正直、ビビったけどたまたまだと言うことにして平然としていました。
その次の日に見える人は体調不良で休んだらしく、学校に出てきた時に私を見るなり「もう見ないから」と文句を言われた。
昨日職場に見える人が来たのを見かけて思い出しました。
- 380 :名無しの霊体験:2022/06/30(木) 11:56:44.86 ID:aGbQOiCGs
- 自称カミサマな白い変態憑きだと思われる暇人です。
新しく出来た推しが異性だった時に駄々をこねられ、いかに自分の方が良いか延々に言われる夢をここ数日見ております。本日は、色んな人から忘れられ絶望してる最中、白い人から手首を握られ「僕は忘れないから」と言われる夢を見ました。
さて、猫のぬいぐるみの話をしたか忘れましたが幼稚園時代の話をしようと思います。
幼稚園の時に猫のぬいぐるみを持ち歩いていた。その頃は身長も高くて小学生に間違えられることが多く、見た目が悪いからやめろと言われたけどお気に入りでずっと持ち歩きたかったし、何より怖い歯医者のお供として一緒に連れていきたかった。
連れていったのが間違いだった。同じ年代の子にぬいぐるみを奪われそのまま持ち帰られそうになり、母に訴えた。
返してくれるように言ってくれると思ったら母から「小さな子に譲りなさい!こんな所に持っていくからよ!」と何故か私が怒られ、相手側の母も抵抗なく少し頭を下げて去っていった。得意気にぬいぐるみを持って行った子は私にあっかんべーしてから去っていきました。
ずっと帰ってからも文句を言う私を怒った母に絶望して、違う遊びをしてぬいぐるみを諦めることにしました。
「◯◯(ぬいぐるみの名前)は、どうしたの?」
といつもの白いお兄さんが聞くので、事情を話すと頭を撫でてにっこり笑い言いました。
「次の歯医者さん?の時には、戻ってくるから。安心してね」
その通りになった。予約した歯医者さんに行き治療を終えると、受付の人から私の猫のぬいぐるみと菓子折りを渡された。
「これは人にあげたものだから」
と手放すように母から言われたが、私が返そうとはしなかった。慌てて親子喧嘩を止めさせた受付の人が言うには
・相手の人が何度も、こちらに連絡をしてきて謝りに行きたいと言っていた。個人情報なので家は教えられない旨を伝えたら、ぬいぐるみは歯医者で預かって返してくれと言われた
・相手の人は遠くに引っ越しをしたから、二度とこの歯医者には来ないし来れないと伝えてくれと言われた
らしい。とりあえず、もうお返しもお菓子もお渡ししたんで!と言われ返された。
親が、相手側に何かをお返ししないといけないだろうけど、相手の情報がないと困惑していたことが凄い鮮明に残っている。
お菓子は、お兄さんにあげたが食べて良いよと言われたので私が喜んで食べた。それからぬいぐるみの持ち歩きは辞めました。
特におちはないです。
- 381 :739 ◆Al9ki804zA:2022/07/13(水) 19:53:53.80 ID:3ohrMfJjs
逃げ切りたいたいモノ同士の話
それは、春のミネラルイベントで購入した石についてのこと。
今やミネラルに行く目的の一つに「あのヒトまだ生きている?」高齢者個人ブース者の生存確認が入ってしまっていたりする。高齢化はどこも同じである。
そんなブースの一つに立ち寄ると、私はある売り物に目を持って行かれた。棚の一番上の端、とてもわかりにくい上に、物自体も小さなそれ。
悲しいかな、通い慣れてしまったブースなので、新顔もなんとなくでわかってしまう。しかし、新顔だからといって目を持って行かれるかどうかは、別のことである。
その新顔は、山梨は黒平の楕円柱状に磨かれた煙水晶、だった。
- 382 :739 ◆Al9ki804zA:2022/07/13(水) 19:55:32.59 ID:3ohrMfJjs
- うつくしい、のは確かなのだが、最初にキたのはそういう感覚ではない。
色んな物がひしめき合っているそのブースで、いや、近辺で不思議な異質さを呈していた。見てくれは、どう足掻いてもただの水晶製印材でしかないのだが。
思わず手に取って眺めていると、ブース主のおっちゃんが、
「コレきれいだよね! 水晶らしくなくて!」
と、いつものように楽しそうに話しかけてきたので、
取り敢えずは、返した。
「はい。なんか、水晶なのにエルバイト(雑に言うと茶系トルマリン)や、色を間違ったトパーズ(黄玉はそんな色しない)みたいで」
そう思ったのは、確かに本心である。ただ、本心の一つでしかないが。
「そうでしょ!! これね、元々ハンコとして作られたものを、知り合いから分けてもらったんだ! こう光を当てると中の景色(インクルージョンの見え方)が凄くきれいなんだ。それに、これは昔山梨で沢山水晶が採れていた時に、生活品として水晶が加工されていた証でもあるんだよ。しかも、当時の職人の手磨きだから、今の水晶の雰囲気と違うよね」
その話を聞いてはいたが、私が覚えた違和は手磨きなどではない。手磨き国産水晶。それこそ同じ黒平産の煙や黒水晶のものを、幾度となく目に入れたことはある。なんだったら、ノウハウ継承洗練化で現代の手磨きのほうが「きれいに整っている」のだ。
ゆえに、目の前のこれの違和の原因は、確かに現代の技術に引けを取らないだとしても、手磨きはならない。
よくはわからないが、私は一旦その場を離れた。
「最終日の私の帰り際までにこれが残っていたら、これは私が買います」と言って。
そして「そうじゃなくても何度もここに来ると思いますがwww」と草を植えるのを忘れずに。
なおその「何度も、」の途中で煙水晶印材が見つけた場所になくて「(あれ?売れたか?)」と思っていたら、さっきと違う、まだ目に付きやすい低めのところに置かれていた。
覚えた疑問をそのまま訊いてみると、
「あの後、他の人も手に取って見るようになってね。少し見やすい場所に置いてみたんだ」
あるある。一度ヒトが触ると、どこで見ていたのかと訊きたいぐらいに、他の人間も触ってくるアレ。
まぁ、これで売れたら売れたで、私の財布がラクになるので、その場で買うことはしなかったが。
- 383 :739 ◆Al9ki804zA:2022/07/13(水) 20:04:35.35 ID:3ohrMfJjs
そうして迎えた最終日の帰り際。まだそれはあった。
「すみません、もう帰るんでこれ買いますw」とお決まりの草を生やして、そのブースに来た。
すると期間中何度も来ていた私におっちゃんは笑いながら言った。
「これを入れといてなんだけど『こんなの誰が買うんだ?』って思っててさ。君は、ぼくの選んだ好きなものを見てくれるから嬉しいよ。感覚が似ているんだろうな」
ある種のリップサービスなのだろうが、私はそもそもそんなにここで買っていないので、褒められている気もしない。私がせいぜい買ったものといえば、なんだかよくわからない副葬品らしき指輪と、無駄に立派な母岩付きトパーズ鉱物標本ぐらいなもの。
なので、
「それって喜んでいいんですかねwww」と返してみる
「そりゃそうだよ!」と、力強く返されたので社交辞令スマイルを浮かべるだけに留めた。
そして次の休みの日に他に買った石を眺めつつ、水晶印材を標本台に付いた状態で改め眺める。普通にきれいでインクルージョンも良い景色をしていた、が、違和は拭えない。
ふと、そういえば底はどうなっているんだろうと、気になった。ハンコとは言っていたが、そもそも著名人でもない一般人の名前が彫られたものを譲渡することはないだろうとはいえ、あの時見ていない(し未購入商品を標本台から剥がす行為は流石にナイ)ので、台接着の粘土を剥がして手の上に取った。
瞬間、持っていた違和が一気に膨れ上がったと思えば弾け飛び散り、その正体を知るに至れた。
これは、自らの意思を"強く"持ってしまった、モノだった。
原因は、恐らく当時の職人が"心を込めて"丁寧に仕上げた"所為"で。
当人の意図しないところで、余りに丹念に制作したために、念、もとい、意思判断のアルゴリズムが物質に組み込まれてしまったのだろう。
なお、肝心の裏は案の定何も彫られてはおらず、裏から見た景色も普通にきれいなものだった。
が、それよりも、私はなんとも言えない、何を云ったらいいのかわからない感覚に陥る。
自らで物理的に動くことのできない物が、自らの意思を持ってしまう。これほどの不幸を、私は早々に知らない。
- 384 :739 ◆Al9ki804zA:2022/07/13(水) 20:07:58.66 ID:3ohrMfJjs
- 石に限らず、ナニかしらの物質に、何かが宿るのは良くあることではある。が、それは写り込んでしまった持ち主の記憶情報だったり、或いはスピリット(精とかオバケとか)どもが、各々の目的のために、其処に入り込み自らをAIアルゴリズムとして組み込むことでなんちゃらかんちゃらからの達成させるためである。もっとも、後者の多くはヒトを驚かしては恐怖心を煽って漏れた感情を喰らう、ことだが。
いずれにせよ、それらは飽くまで外部からの乗っ取りでしかない。ニンゲンにもなくはない現象だが、昔の私の場合はめんどくさくなって全権明け渡してみたら余りのマニュアル操作っぷり(たぶん脳梗塞で隙が大きかったのだろうが、そのたぶん脳梗塞ゆえに指を僅かに上げるだけでも相当の気を割かなければならなかった)に発狂された挙句に逃げようとされても生存本能が剥き出しの肉体に喰われて肉体を動かすための精神エネルギーに変換されるか、ある程度のサイズ感があるならば肉体が何処かに保存して使用中の自我がブラック環境に耐え切れず安寧求めて自死を発動させた際(なおたぶん脳梗塞前にも自我自死はよくあったが当時は自前の精神エネルギーを使用)の後釜としてストック→ゾアホリック宜しくだが当事者の意志ガン無視な強制書き換えで新たな自我として使い潰されるか、そんな自業自得な憂き目に遭ってしまうオチになったが。なお、しだらに遭遇以降は、しだらの神気をフォアグラ用のガチョウよろしくに貪食させられて強すぎる反作用に気を狂わせながらも慣れたのか肉体操作の不和は落ち着きを見せてたぶん脳梗塞前からあった自我自死も激減していった。閑話休題。
- 385 :名無しの霊体験:2022/07/13(水) 20:21:52.24 ID:3ohrMfJjs
煙水晶印材は、自らで意思を持ってしまったがゆえに、せめての救いのように持った"力"を自らの願いのためだけに使っていた。事象発生の確率変動と、他者意識の誘導。決して、自らがソレに、判子としてよりもまじないの道具として選ばれないように。意思を持ってしまったことに嘆き、選ばれて使われることに怯え。連中どもが持つ基本的なスキルを使って直向きに、他者に使われたくない、ソレとして使われた同じ個体だったものたちのように使い潰されたくない、自身の存在を悟られたくないと、本来ならば知る必要の無かった恐怖に襲われながら隠れ続けていた。
ブース主の話の「古い知人から譲ってもらった」から、恐らく身辺整理(ブース主自身が七十を超えているため相手も結構な歳なのは想像に難くない)の一環で、隠れ切れずに表に出てきたのだろう。だとしても、ブース主が台座を付けて展示販売するだけならば、他のベテラン展示商品に紛れて終わっていた。ただ、ブースに流れた直後で、違和を覚えてしまった私に見つかってしまい、結果的に発動していた一部が破れ、多くのヒトの目に留まるようになった。とはいえ、誰の手にも渡らず、最終的に購入したのは私なのだが。
恐らく、この言葉を使うのは私自身癪でしかないのだが、これは真にパワーストーンと呼んでも差し支えがない代物だった。そしてまた、私が私としてそう認めざるを得ないのは、この印材が最初で最後だろう。他のは、まぁ、まぁ、その、うん。そもそも最低でもしだらの気配に打ち勝てるレベルって、ほら。
印材には穴が空けられていてCカンが通されていたので、試しに、ネックレスチェーンに通して首に掛けてみた。見てくれはアクセサリーでしかないし、春先ならチェーンで、以降の季節には細い革紐に変えれば使えるペンダントである。判子としてナナミの名前を改めて彫って使うより、そちらのほうが使い勝手が良いだろう。
しかし、首から掛けているそれは、私にはやはり"アクセサリー"には思えなかった。ペンダントの、水晶印材を模した被ったナニかである。現に、試着状態でしかないのに鼓膜を突き刺すような不可聴音が凄まじい。とんでもクレームを出してきやがる。無機物の分際で。
- 386 :739 ◆Al9ki804zA:2022/07/13(水) 20:31:30.83 ID:3ohrMfJjs
「(うるせぇぞ、テメー。これ、アタシじゃなくて他のヤツだったら精神に異常をきたしているかんな? そしたらオメーは叩き割られて燃えないゴミ直行だ。よかったなァ、行き着いた先が同じお役目ファッキューな『逃げ切りたい』者同士のオヤサシイひとで)」
そんな無機物相手にメンチ切る私も大概なのだが。
せめてもの意趣返しで、冷凍庫で半永眠状態なロックアイスの袋を取り、シンクに叩き付けてほぐして適当な一塊を手に取った。そして、ソレを適当なガラスの小さなに入れて、氷の上に水晶印材を乗せる。
我流な(耐水系限定)石のクリア装置。溶けた水は排水溝に捨てるだけ。
乗せた途端に比熱差で氷が溶ける溶けるみるみる溶ける。つられて石の様相も大人しくなる。
薄らいでいくソレをニマニマしながら眺めていたら、不意にしだらの気配が強くなったので意識を向けたら何処となく呆れたように私を見ていた。
――お前 それはやめてやれ
その内容に私は思わず疑問符を打った。と、いうのも、しだらは宝石類を『ただの石ころ』と金を使うこと自体に不快を呈し、パワーストーン系に至っては『おれのほうが、』と更なる不快を呈してくるからだ。
なお、職人の彫金や切り子カット、人工宝石の類は好反応を見せたりする。自然物に興味が湧かないのは、さすがは元が山林霊とも言うべきか。
なので、ヤツが庇ってくるなんて珍しいこともあるものだと思いつつ、私自身も一応の意趣返しで気が済んだので氷から水晶印材を外した。その際、溶けた水で手が滑ってガラス容器の縁に落としぶつけてしまった。艶々な底面に僅かな傷があるのは、購入時点からであってこのときについたものではないだろう。たぶん。
そして、この水晶印材は今も標本台の上に鎮座している。
この前のミネラルイベントでペンダントとして着けようと思って財布の中にいれたのだが、結局替えるのと服装にイマイチだったため、他のペンダントトップにしたままで使うことは無かった。
出掛けで地下鉄に乗り込むときは財布越しにドキワクしていたのに、使わないまま終わって標本台に戻そうとしたら外に出されたことへのクレーム不可聴音を出された。
お前はいったい何様のつもりなんだ。
- 387 :739 ◆Al9ki804zA:2022/07/13(水) 20:33:46.58 ID:3ohrMfJjs
オマケ
ミネラルイベントのブース側人間の一人に、元(世界を股に掛ける超大企業ジュエリー社名)の日本支社創立メンバーが一人いらっしゃるのだが、その気になれば社長室よりも豪華な『相談役』のデスクで踏ん反り返ることができるだろうに売る気があまりない自身の蒐集物をおみせひろげて客とおしゃべりする道を選んだ奇特なヒトだ。なお、ソコに行かなくとも何処かしらで一角の人間にはなっていたのは、立ち振る舞いが物語っている。
そのヒトは「石はね、行きたいヒトのところにしか行かないのよ」と常々言っていて、つい先日のミネラルでは、
「私ね、今回フェナカイトのルースを持ってこようかと思ったの。でもね、産地特定ができなくて、わからないまま出すのが嫌だったから今回は持ってこなかったのよ。そしたら、お客さんから『フェナカイトありますか?』って何人かに訊かれたから事情を話して今は無いことを伝えたの。それで、なんでそんなの(フェナカイトはアクセサリー以前にルースとしてもマイナー)が欲しいのか訊いてみたのよ。そしたら、『最強のパワーストーンだから』だって。そりゃ、そんなヒトのところに行きたがらないわけよね」
私がその場で草を大量に生やしたのは言うまでもない。
――――
- 388 :名無しの霊体験:2022/10/13(木) 02:21:42.60 ID:p1l+O5fTs
- 相変わらずの暇人な自称カミサマな白い変態憑きだと思われる人です。
この間からコンビニのザクロビネガーにハマっております。
幼稚園の頃に、友達から私の星座に纏わる神話を聞かされました。そこで、初めてザクロの存在を知り食べてみたいと思うようになりました。
ですが、なかなか売っておりません。
次の日にもザクロの話をされました。友達は「こんなに美味しい果物食べたことなかった」と自慢してきます。
悔しい思いをしながら、その日親とスーパーに行きました。そのスーパー珍しい物を売っていることがあり、ザクロが置いてありました。
買って欲しいと言いましたが却下され、食べれず。
次の日にもザクロの話をされました。友達は「実は自分ちで作ってるんだ。今度持ってきてあげようか?」とニヤニヤしています。2つ返事で「食べたい」と伝えました。
そして、ザクロの置いてあるスーパーにまた行きました。あんなにあったのに残りはひとつです。駄々をこねた所、そこまで何度も言うならと根負けした両親。
買ってくれ、その日は家族で分けて食べました。これで、あの友達に食べたと自慢ができます。
週が明け、友達を探しました。どこを探しても見つかりません。
ようやく庭で一人で遊んでいるのをなんとか見つけて、ザクロを食べた話をしたら大きい目を開き地団駄を踏まれました。
泣き叫んでそのまま校舎に走り去られ、私は呆然。
家に帰ってから、何が悪かったのかと外の駐車場で考えていたら何かを足に投げられました。
「うそつき!」
声はあの幼稚園の友達のもの。でも、投げられた方向を見ても誰もいません。足元にはとても小さなザクロがありました。割ってみると小さいのに実が付いていました。
食べてみようか。
口を付けようとした時、いつもの白いお兄さんが来て「落ちたもの食べるのは、汚いよ」と言ってザクロを取り上げポーンとどこかへ投げつけました。
その日から、その友達は幼稚園で見ることはなかったし今思えばどこの組で名前も知らない子で、同じ場所でその子から神話を聞いていた子に確認取っても「そんな子はいなかった」としか言われなかったです。
ちなみに、白い変態のお兄さんはザクロは嫌いな模様。特に落ちはないです。以上
- 389 :名無しの霊体験:2022/10/13(木) 02:43:52.48 ID:p1l+O5fTs
- この間聞いた不思議な話。
母の祖母の家に、石で作られた像があったそうな。手のひらより大きくて重くて、お坊さんみたいな服装らしい。
母の祖母曰く、川から流れてきたという。
そして、なんでもこの石で胸を撫でると乳が出るようになるそうで、噂を聞き付けた若いお母さん達がよく来ていたらしい。
数年前山を人にあげる時に、その像もろとも処分してしまったらしいから今はどこにあるかもわからない。
あの家を崩す前に知りたかったと歯がゆいばかり。
ところで、我が家系なんなの。川から流れてきた所在不明の石像拾って帰ってきて、胸に当てたり火の玉見たり天狗見てたり、狐を恐れたり、墓に刀があるとか下級武士の出とかそんな噂があったり。
そもそも石像流れてくるものなの?眉唾物で今回もやはり落ちはないです。すみません。
- 390 :名無しの霊体験:2022/12/01(木) 08:24:12.73 ID:uKfud4f3s
- 白い変態憑きだと思われる人です。
最近、何かを見間違えることもなくなって大人にようやくなってきたのかなと思ってましたが、結局はまた見たのでそんなことはなかったです。
この間、用事で県外に行きたまたま着いた駅に人でごった返している神社に行き挨拶をしました。
結婚式してたり、七五三してたりととても微笑ましく思ってました。
飛行機から降りて家に帰る途中、ナビ通りに車を動かしてたら県外で行ったその神社系列の神社の方向を案内されてビビった。
やけにこの神社にナビが案内するなと思って後でググった結果、系列だったんですよね。
ナビなしで帰りました。
早朝に出ることになり、5時に起きれるかわからないなと思っていたら夢で。
「起きる時間だから起きて」と言われた。
目を開けると5時一分前。慌てて起きて準備して間に合った。
この間、仕事が案の定忙しくなりバタバタしていると隣にスッと人型が立つ気配がした。目の端にも人が見える。
仕事手伝いに来てくれた同僚だと思って喜んで隣見たら誰もいなかった。期待させやがって。イラッとした。
こじつけなんだろうとは思いますが、こんな感じでちょっと不思議だなと思って楽しんでます。
- 391 :名無しの霊体験:2022/12/09(金) 00:45:54.36 ID:oN5C8fNms
- 白い変態のお兄さんが憑いてると思われる人です。
幽霊関係なくて本当に申し訳ない。ブラインド仕様の中身を当てる確率が高いです。
箱を手に取った瞬間に「これは◯◯(キャラ名)!」って閃きが来ます。
推しでもないのに、中身が本当に◯◯(仮名)なのか気になっちゃってどうしても買ってしまいます。
しかも、そういう時は大体正解。
推し以外のグッズが手元に来る仕様です。
友人の目の前で、適当なブラインド仕様のグッズを買って開封の時に、これは◯◯(仮名)と宣言付きでやって見せたこともあります。
「どうして分かったの?!(驚)」と言われますが、私も知りたいところです。
フィギュアとか重さでキャラ分かったりするじゃんと思うでしょうが、同じ形でプリントされている絵柄が違うだけのグッズでも当てることが出来たりします。
トドメは、予約特典でランダム23種類のグッズを貰えることになってたある日。
その日の朝、その作品のキャラがワクワクした様子で夢に出てきました。あ、うちに来るんだなと察したところ、予約特典でやはり来ました。
事前に友人に話をしていたので、引き気味に言われました。
「本当に来た・・・どういうこと?」
私もそこが知りたいところです。流石に夢で見た!なんてこの年齢で言えばヤバイ人確定なので勘だということにしました。
勘でも充分ヤバイ人に見えますが。
なんでしょうね。これ。せめて推しを的中させれば良いのになと思います。以上です。
- 392 :名無しの霊体験:2023/01/22(日) 15:07:02.83 ID:GnedmM5V0
- 個人的には怖かったので、こちらへ。1週間ほど前の話。
30cmくらいある虫に襲い掛かられる夢を見て、悲鳴を上げて目が覚めた。(自分は虫が大嫌い)
ベッドの左側で寝てたんだけど、目が覚めたのと同時に、夢の中の虫から逃げるように反射的に体を反転させて右側に転がった。
そしたらベッドの左隅付近から声のような、音のような、何かが聴こえる。
ヴェーン、みたいな、喉を震わせたような声にも機械音にも聴こえる音が、「ヴェーン、ヴェーン」って鳴り続けてる。
朝が苦手だからスマホのアラームと目覚ましを両方かけてるんだけど、その音じゃない。
聴こえ続けるので正体を確認しようかと思ったけど、明らかに尋常じゃないというのも分かってて、肉声で聞こえる声や音はやばい、と何かで読んだことがあったので確かめる勇気がないまま布団をかぶって震えてた。
正直、夢で見た虫だったらどうしようと、心霊と物理の両方面で震えてたら、次第に聴こえなくなった。
完全に音が止んでから恐る恐る確認したけど、何もなし。
スマホを見たら時間はアラームの鳴る2時間前で、着信等もなし。
以前、枕元で何かが通り抜けて行く気配があり、その時は寝ぼけていたので腕を伸ばして捕まえたら、手の中で何かが暴れて消えたこともある。
その時は半分寝ていたからただの夢かもしれないけど、感触はしっかり残っていた。
何かの通り道にでもなってるのか。
- 393 :名無しの霊体験:2023/02/02(木) 23:33:10.41 ID:n6jPDFeus
- 通り道になってるんでしょうね。というかその手の感触もしかして、虫では・・・?
- 394 :名無しの霊体験:2023/02/10(金) 20:45:32.69 ID:hzVM2wlb0
- Σ(゚Д゚|||)!?!?!?
- 395 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/02(木) 20:34:09.02 ID:9Mtj5PYJs
神連中の見てくれスキン基準が、
「神本体の性質やらナニやら←→当該受信者(おれとか)知るキャラクターやナニやら」
な『擦り合わせ』の結果だというのはなんとなくわかりつつあるも、
だとしても、
宮島大願寺弁天さまのスキンが某排球漫画の潔子パイセンだったり三輪明神が第五人格のハスターなのはともかくも、
夏に訪れた新潟にある白山神社の受付男性神が某戦国史漫画の呂不韋で、奥に控えていた(恐らく一帯ヌシ)のが同作の太后って、ェ。
因みにしだらの見てくれスキンは未だに言いたくありません。潔子パイセンと同じ、某排球漫画ではありますが。
そしてまた、ヤツに遭遇()した当時、その時某排球漫画にハマっていたため、
「なんで同作スキンなら(当時の最推しキャラ)じゃなくてソッチなんだよ!!」と喚き散らしたが、よくよく思えば本当に本命キャラで出たところで「解釈違い!!!」と殴り倒している光景しか目に浮かばないので、よしとしようと思う。
恐らく、もしその某排球漫画をご存知の方がいらして、かつ、しだら関連の書き込みを見て覚えている方がいらしたら、
たぶん某キャラが思い浮かぶことと思いますが、ソレで恐らく合っています。
そして本神は怒髪天つきスタイルが元々として気に入っているため、敢えてそのスキンを地でいっている可能性も微レ存。
- 396 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/02(木) 20:52:02.32 ID:9Mtj5PYJs
- コチラのスレッドに書き込まれていた「ザクロが嫌いらしい」で、今更ながらに思ったこと。
「ザクロって、確かお釈迦さまが子さらい子食いをして鬼と化していた母親に食う子の代替品として与えたものだよなぁ。そんで鬼母は改心して仏道に入ったって(所謂『鬼子母神』)」
お釈迦さまが苦手なのか、ザクロのエピソードで苦手意識を持ったのか、或いは単純に食べ物として苦手(だってフツーに食べ辛いし)なだけなのか。
当事者しか知り得ないことだわな。
- 397 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/05(日) 20:14:18.84 ID:dyRvwvMk0
『大神明神(或いは三輪山権現)に遭遇()した日の話』
実際に遭遇するタイミングは文の最後のほうで、それまでは「それ以外のその日のこと」です。
三輪明神が「出始める」のは、冒頭が『目当てのカフェ付近まできて、』からになります。
それまでは、私自身の“ソッチ方面でよくある()こと”になります。こんなことがよくあってたまるかと、いつも思ってはいますが。
ハァ(どちゃくそ重苦しい嘆息)。
それは、死の毛布()船舶事件から月日が経過して、新型コロナウィルスが世間で騒がれるようになった一月上旬。
私は、友人とメッセージのやり取りをしていて、下旬の日曜日に遊ぶ予定を詰めていた。
ことの発端は彼女が『ジャンル友からすごいオシャレなカフェを教えてもらった。キユさん一緒に行ってみない?』というものだ。そして、日程やら待ち合わせやらを決めていると、他の時間をどうしようかとなり、
「せっかくなら、他のシャレオツなカフェにも行ってみたくない?」
と、紹介してくれたカフェがアソコなら明治神宮徒歩で行けそうだから、そのカフェに行った後で腹ごなし散歩に明治神宮に行って、という流れで決定。
そして私は良さげなカフェを周辺で探していると、おススメまとめページでしだらが一箇所に興味を持った。有機栽培だのなんだのと所謂『自然素材』を謳った系統だ。確かに、周辺ならではのシャレオツで、とてもしだら好みなカフェだ。自然派で?いいえ、シャレオツ感で。
散歩コースとしても悪くはなかったので、友人にメッセージでそのカフェのことを話すと、二つ返事で了承してくれた。
この時は、まだ、この判断がナニをもたらしたのか露だに想像がつかなかった。
- 398 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/05(日) 20:15:24.12 ID:dyRvwvMk0
同月の下旬の約束の日。
待ち合わせ駅で早い時間に到着してヒマ潰しに周辺を徘徊するのはいつものこと。
駅から離れなければいいと何も考えずに歩いていると、不意に視界の先に小さいながらも立派な社が、しかも遠目で真新しいとわかる上に、鼻でも木材特有の匂いを感じ取れるレベルの新物だった。
私はややゲンナリしてその社の前に立つ。どことなく得意げで自信アリな気配を放っていたのは、気のせいではないと思う。
嘆息して、お賽銭を入れて形だけの参拝を済ませた。私は、別に新しい社(後で調べたら正確には『移転』であり、この地に建てられたのは同月上旬というなんとも言えないタイミング)を参拝するために早く駅に着いたわけではないのに、と天を仰ぎたい気分に駆られた。
そんなこんなで時間が来そうだったので、再び駅に戻り、周辺でカフェの入り口を探して先に並んでいた友人と合流。開店を待ちがてら先程のことを彼女に話したら「さすがキユさんwww」と草を生やされた。ちくせう。
カフェはフラワーショップチェーンが経営なだけあって、店内は其処彼処に花が飾られてそれだけで来た甲斐があると思えるほど。こういうところを探す嗅覚は、さすが同人女ヲタだと思う。
ドリンクもプレート料理も豊富で見た目も鮮やかで目移りするが、ハイビスカスを使ったハーブティーとなんちゃらライスのプレートに決定。友人も友人でお茶とプレートを決めて、店員さんを呼んでオーダー。お喋りをして品を待ち、品が来ると食べながら話す。この時はまだ『黙食』という文化は生まれていないんだ。
そして、あらかた食べ終わり、自分のハーブティーも残り一口だったので飲み干そうとした。
ら、カップ周辺にナニがしの気配を感知し、敵意も悪意も害意も無いようだったので意識のフォーカスを向けると、そこには所謂"小さいおじさん"――スキンが第五人格の塗装職人衣装の"泥棒"――妖精と思われるものが、カップの横に立っていた。その腕に、角砂糖を抱えて。
はァ?(確かに妖精は小さいおじさんの姿ってハナシは聞いたことあるけどよりによってソレ???にしても何の用なん?)と怪訝さを隠さないであらわにすると、その妖精らしきヤツは抱えていた角砂糖を前に掲げてみせると、
――これ 砂糖っていうんだよ
――甘くておいしいんだよ
……なんてことない。
その「(折角の)甘くて美味しい」砂糖を使わずに飲んでいたことが気掛かりで存在感を出してきたのだ。
- 399 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/05(日) 20:16:59.88 ID:dyRvwvMk0
んなの知っとるわ、ボケが
こっちとら砂糖ナシで飲みたいんじゃ
と、思ったことをぶつけずにハラの中に留めた私を褒めて欲しい。
とりあえず内心で舌打ちを一つして、残り一口しか残っていないカップの中に角砂糖を一つ放り込んで雑に混ぜて溶け切らないままに飲み干した。くだらない用件ではあるが、不興を理由に私に殴り殺される覚悟で存在感をあらわしたことに敬意を表してだ。ぁあ、クソ甘ぇ。
「(これで満足か?)」
と、思念を送ると、その妖精らしものは俄に気配を光を放つレベルで明るくさせると、静かに存在感を消していった。
「(なんでこんなことでそこまで喜べるんだか)」
と、呆れながら口直しの水を飲んでいると、不意に周囲の気配が色めき立っていくのがわかった。
失念していたのだが、ここは花屋が経営するカフェであり周囲にはよく手入れのされた、生きた植物が多くレイアウトされている。つまり、ここはスピリットどもにとってはとても居心地の良い場所なのだ。
私は基本的にザコ系は干渉の足切り対象にしており、事実ザコどもも私に殴り殺されるリスクを負ってまで干渉してこようとはしない。が、先程のアレで、他のヤツらがどうも調子付いてしまったようだ。
悪意敵意害意が無ければ良いというものではない。たとい好意でも厚意でも数が多ければ処理にリソースを食うのは必然であり、リソースを食った分に見合うリターンがあるのかとなればあるわけがない。つまり、ウザい。
そんなこんなで憂鬱になっていると、友人がやっと食べ終わったので、会計して退店した。中のヤツらが寂しげにしていたのなんて、知ったこっちゃない。
- 400 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/05(日) 20:18:55.79 ID:dyRvwvMk0
明治神宮まで歩きながら愚痴で先程のことを話し、目に入ったカカオ果肉のジュースの看板を見て、欲望のままに買って飲んで友人にも味見させて飲み切って近くのゴミ箱に捨てる。お洒落な店が多いので見て歩くだけでも充分に楽しい。途中の式場で結婚式があって、きれいだねー、と取り留めく話したり。
そして明治神宮に到着して、鳥居を前に一礼。友人は初明治神宮らしい、というか神社といえば三重の実家近くの伊勢神宮へ年始に参拝しているので気が済んでいるとのこと。まぁ、特段理由が無かったら、そう参拝もしないわな。
鳥居を潜って手水場に行くと、柄杓が撤去されていてびっくり。代わりに、縦割りの竹が設置されており、そこに空けられた穴から落ちる水で清めると。今でこそ珍しくないスタイルだが、早い段階で考え出して設置する行動の早さは凄い。観光地としても名高いのは伊達でない。
二人で凄い凄い言って手と口を清めて中を散策。日中とはいえ、一月下旬としてはかなり暖かくて動きやすい。途中、白無垢と紋付き袴の男女に、正装姿の参列者がぞろぞろと歩いて行くのを見た。良い結婚式日和だ。
友人は「神前婚なんて初めて生で見た!!」と興奮していたが、確かに神社へ行くことのない人間からしたら、この光景を見るのはないかもしれない。私は見慣れてしまっていたが。
適度に散策すると、次のカフェに向かうべく神社を離れた。そして行きと違う道を歩いてお洒落な店を見て楽しんでいると、再び結婚式に遭遇し、今度は花嫁は赤ん坊を抱きかかえてだった。
友人が「……休みの日って、こんなに結婚式やっているものだっけ?」と、訝るように私を見てきたが、私に訊かないで欲しい。強いていうならば、ヤツ(しだら)にでも訊いてくれ。
- 401 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/05(日) 20:25:51.82 ID:dyRvwvMk0
目当てのカフェ付近まできて、詳細な道を見ようと友人がスマホでマップを開いてくれた。私は(これを書いている今でも)モバイルWi-Fiを持っていないためだ。
そして一緒に画面の地図を見ながら道を見ていたのだが、ふとある道の奥から「(あ、これは、)」とわかるレベルの神社の気配を感じ取り、私は「あの道じゃないみたい」と友人に言った。友人もそれに従い、別の道を行った。
しかし、その別の道に目当てのカフェはなく、再びマップを開いた場所まで戻ってよくよく見てみると、私が違うと、神社の気配がしたほうの道こそカフェに続く道らしい。
私が脳内で疑問符を打ちながらも歩いていくと、目当てのカフェがそこにあった。そして、カフェの周囲に神社などなく、気配の発信源は、そのカフェからだった。
私は一層に疑問符を強く打ちながらも、取り敢えずは無駄に歩かせてしまった友人に先に詫びを入れて、カフェへと入った。
入店すると、ネットの紹介に違わず綺麗で明るくシャレオツで、客層も店員も相応の見てくれをしていた。が、それよりも先に私が意識を吸われたのは、入店正面にあるレジカウンター→キッチン入口の上に祀られていた、木札だった。視線を凝らして読めたのは『大神神社』という文字。
「(おおかみ?オオカミ神社?狼?だったら三峯じゃね??? ……あ、おおみわか。あったあった、そんな神社。つかどこだっけ。結構なド田舎だったよな。でも島根鳥取ではないんだよな。ご神体は山だったよな。ま、なんでもいっか)」
初見一瞥の感想はその程度で、店員に案内されるがままに友人と席について、食べたいものをオーダー。友人は、先のカフェの料理が腹に残っているからと軽いものにし、私はネットで見てから食べたかったお茶のパンケーキを頼んだ。
そして料理が来るまでの間、友人と雑談しつつ先ほどの道の話と木札の話をした。詫びた後で言い訳がましくはあったが、オチが木札と知っては言わずにはいられなかったのだ。まだ、『オチ』てはないのに。
「さっきのさー、神社の気配がしたから違うと思ったんだよね。そしたらあったの木の札だったよ。ほんと、やんなっちゃうわ」
友人は笑って聞いてくれていたが、私は自分で言っててふと思い直していた。
- 402 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/05(日) 20:26:53.25 ID:dyRvwvMk0
そう、木札一枚で“神が存在する”小規模神社相応の気配を醸し出していたのだ。いくら祈祷されてきちんと祀られているからとはいえ、類似例な猿田彦カフェはここよりもしっかりと神棚を設えた上で札が祀られているのに、一般的な『神棚感』で終了している(とはいえ周辺に構えてて何も考えずに歩いていると吸い寄せられることしょっちゅう)のに。
「(え、ちょっと待って、いくら祈祷しているからって、木札自体は所詮、量産な木の札よね? その量産品でしかない物から直な神気が出ているってどういう、)」
思考は、そこで止んだ。否、止んでいた、のだ。
- 403 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/05(日) 20:29:18.06 ID:dyRvwvMk0
「(…………?)」
再び思考が戻っていたときには、身体の芯が震えだしていた。どうやら反射的に思考に割いていたリソースを身体の神経に回していたのだと、このとき知る。もし、この反射行動がなければ、私は失神して倒れこんでしまい、店の床の上で全身を痙攣させていたことだろうと思う。
そして、この現象がなんなのかは、知っていた。強すぎる神気にあてられた際に起きる、身体からのサイン、謂わば霊障ならぬ『神障』だ。
それがそうだとはわかった、が、パニックにもなってくれない思考は混乱の代わりに『何故』ばかりを生み出す。身体がこんな状態になったのは、ここより更に数年前の所謂サ神以来であり、サ神より遡るならば、私に耐性が付く前のしだらぐらいだ。
しだら耐性が付く前はヤツの気配を感知するたびこんな状態だったな、などと懐かしさ皆無なことを思い出しつつ、どちらも“ニンゲンがソレを『神』とラベリングする前から既に地上で我のあった存在”だと思い至る、が、腑に落ちないのはソレだけで何故ここまで身体が震えなければならないのか。ガッチガチの土着神を感知するだけならば、こうまではならない。
となると、あとは、
- 404 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/05(日) 20:31:27.83 ID:dyRvwvMk0
「…………!!!」
ソレに思い当たった瞬間、今度は神気からではなく、自ら覚えた恐怖で身体が一層に震えそうになり、無理やり抑え込んだ。並列思考で表面上は友人と談笑し続けているジブンが本当に偉い。
どんなに力が圧倒的でも、感知するだけならば身体は震えまではしない。グリズリーやティラノサウルスを見かけたところで、向こうがコッチに気付いていないならば多少の恐怖はあっても背景の一部でしかないのだから。
しかし、その『背景』でしかなかった強大な相手が、コチラの存在に気付いてしまえばどうだろうか。それと同じだ。向こうにその気がなくとも、ちょっとした手出しでコチラはあっさり死んでしまう。そんな絶望的な力量差のある相手が、コチラの存在に気づき、あまつさえ近づいて来たならば。更に、その相手が加減皆無なナチュラル覇王色を纏ったまま干渉してきたならば。
そう、つまり、
ソ レ そ の も の が 神 札 を 介 し て 私 を 目 印 に コ チ ラ 側 へ 這 い ず り 出 よ う と し て い る の だ 。
- 405 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/05(日) 20:33:02.57 ID:dyRvwvMk0
たといそれが悪意も悪気も害意もない行動だとしても、祀られている正当できちんとした神であっても、旧い土着神の気配がコチラを目指して蠢いているなど、恐怖でしかない。
運ばれてきたスィーツを食べながら、お茶の粉で咽て「食べ辛いwけど美味いwww」と草を生やしながら食べつつ、友人が食べきれなかった甘酒スィーツを腹にスィープし、しばし食休みをした後で退店した。料金を支払う際に再び木札を見たが、もうそこからは神気も何も感知しなかった。用を、済ませてしまったからだ。その札を介して向こう側にあったナマの神気は、私にまとわりついている。
外を歩き、私は身体の芯の震えを少しずつ外に出しながら、友人に話した。
「流石に店の中で話すのは憚ったけど……私、あの木札の神に目ェ付けられていた。身体が、やっと震えてきた」
あの気配は、私の周辺でわだかまったままだった。友人にそういった霊感が皆無だったのが、幸いだ。これが友人の霊感があるという妹のほうだったらどんな反応をしただろうか。……いや、恐らく反応しないだろう。アレらと悪霊だのなんだのは、同じ不可視光線という括りでも、赤外線と紫外線ほどに違うものだ(少なくとも私はそう思っている)。幽霊や怨念系に感知が強くても、アレらの感知まで強いとは限らないし、もし両方わかってしまったらそれこそ悲劇でしかない。
友人は私に気遣って「どこかで休む?」と訊いてきたが、さっきの今で再び別の店に入るのも気が滅入ったし、何よりまとわりついたままの神気から少しでも意識を逸らせたかったから、このまま散策で、と言った。
- 406 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/05(日) 20:34:56.12 ID:dyRvwvMk0
そうして周辺を歩いて雑貨店やら家具屋やらを見て回りながらも、神気は一向に離れる気配も薄らぐ気配も、無かった。
私自身もだいぶ落ち着いてきたのと、いい加減にその気配に慣れてきたので、
「(んでコレ離れねぇんだ??? もうコッチ側に出てこれて終わったはずだろ???)」
と苛立ちすら覚え始めた頃に、ふとわだかまっていた気配が急に収束して、再構築をし始めた。
「(???)」
全くの不測の事態に友人と話しながらもわけのわからない事態に少し混乱していた、ら、
――のだーーーー!!
私は、人目が無かったら壁に頭を打ち付けて自らの頭蓋骨をかち割っていたことと思う。
収束して再構築が完了したソレは、あの時の圧をそのままに、第五人格のハスターのスキンを纏っていたのだから。
「(はぁああああああぁあああぁああ!!!!???)」
そう店内で声をあげなかった私は、本当に褒め称えられて然るべきだと思う。
「(いやいやいや!!?確かに元設定は恐怖の化身だとかなんちゃらかんちゃらあったけど!!!?山の畏怖というイミだったら間違ってはないけど!!!ど!!!??だったらなんなのその『のだーーー!!』ってのわ!!ファンアートあるあるのだ幼女ハスターで思いっきりフレンドリー感が丸出しっていうか土着神の圧まんまにソレって色んなイミでめちゃくちゃキツいしアタシそもそもハスター教じゃないからソッチ方面での嬉しさが皆無すぎるんだけど!!!!?)」
後に現地旅行で更に思い知ったことだが、大神神社の御神体たる三輪山自体もニンゲンに友好的で地元民だいすきみんなだいすき、な、感じで、三輪山の登拝が一般民にも解禁されるようになって一番喜んだのは他でもない本山なんじゃないのか、と思うレベルである。もし「選ばれないと登れない」という与太話を真に受けるのであれば、単純にあの神の圧()を変に受けてそのヒトのナニかが「(ムリ、ない)」と無意識に拒絶したからだろうと思う。それはそうとしてお清めと称して勝手に山で酒を振りまくヤツは個人的に親指を下に向けてやりたい。付近草木と土壌生物に土下座して謝れ。
そんな圧倒的力に畏怖、そしてフレンドリー()さという綯い交ぜっぷりでハスタースキンを纏ったのだろうが、もし私が第五人格を知らなかったらナニを纏っていたのかという疑問が思い浮かぶも不毛なナンセンスで、私は、考えることをやめた。
- 407 :739 ◆Al9ki804zA:2023/03/05(日) 20:37:47.25 ID:dyRvwvMk0
神気にあてられた疲労感を上回る疲労感に襲われながらも、表面上は友人と談話して、時間になったので解散。
帰りの電車内で、うきうきるんるん音符マークまで飛ばすソレとは正反対に、私は新たな『神』を抱えたことに、ただただただ重くなっていくアタマを抱えるしか、なかった。
なお、
「そもそも、その店にしだらも興味を示したんだろ?ソイツその時どうしてた?」と思われたかもしれない方へ。
あの店に入ってからは(私がそれどころじゃなかったせいもあるだろうが)ヤツの気配が微塵もせず、這いずり出るときに干渉もナニもしてこなかった、ことは言っておく。
私自身ヤツに対してその件を問い質してみたい気持ちはあったが、
翌日には何事も無かったかのようにソレと、同じ“山”系由来だとしても、アタリマエのように和気藹々とやりとりしているヤツをみて、
「(……訊いても絶対に無駄に終わるな)」と、悟らざるを得なくなったんだ。
――――
- 408 :義妹と御狐様:2023/03/11(土) 02:34:51.27 ID:y5pOhdSVs
- お久しぶりです。
覚えていてくれている方がいるのか不安ですが、義妹と御狐様の義兄です。
気付けば最後の投稿から7年もの月日が過ぎていました。
色々な事がありましたが、義実家含め皆元気に過ごしています。
久しぶりのご挨拶として、ヾ(*´∀`*)ノに戻った後の子狐様のお話をこっそり投下。
義妹夫婦が結婚して1年程過ぎた頃、近所に引っ越して来た夫婦がいた。
近所とは言っても挨拶回りするには距離があるし、正直気軽に引っ越しの挨拶を出来るような門構えのお宅ではない義実家。
それでも、義実家にはご挨拶してた方が良いと、後日その夫婦のお隣に住む奥さんが付き添いやって来た。
義妹夫婦と義父はその時一緒に外出していたので、義母が対応。
折角なのでお茶でもどうぞと、奥さんと夫婦を家に上げた。
お茶をしながら、これからよろしくと当たり障りのない会話をしていた所で義妹夫婦と義父帰宅。
親衛隊から引っ越しの挨拶をしに客が来ていると報告を受け、三人も挨拶をしに行こうと応接室に向かった。
ノックをしてドアを開けた瞬間。
(゚Д゚)
な、顔をして子狐様硬直。
その後。
やーだー!!臭い人いやー!!。゚(゚´Д`゚)゚。
と、叫びながら庭に飛び出した。
その様子がはっきりと分かる義実家の四名は一瞬笑顔のままで固まったらしいが、気を取り直してその夫婦と付き添いの奥さんに挨拶。
その間も。
もー!臭い人やだー!!あの女の人すっごく臭いー!!。゚(゚´Д`゚)゚。
広い庭をびよんびよん飛び跳ねながら、子狐様は叫んでいたらしい。
- 409 :義妹と御狐様:2023/03/11(土) 02:35:49.48 ID:y5pOhdSVs
- なんか色々察した義実家の面々は、相手に失礼にならないように程良い所で切り上げて三人を見送った。
その後リビングに移動して、庭で相変わらず叫び飛び跳ねている子狐様を詳しい事を聞こうと義妹が呼び寄せた。
義妹「子狐様、もう大丈夫だから。落ち着いて」
子狐様「義妹ちゃーん!あの女の人すっごく臭かった!!(´;ω;`)」
義妹「そっかー応接室だから結界あって直前まで気付けなかったから吃驚したねー」
子狐様「人のモノ盗んだり!自分がした悪い事を人のせいにしたり!そういう事いっぱいしてるから、あの女の人すっごく臭かった!!臭い人きらーい!!もうお家に入れちゃダメ!!」
と、子狐様は暫くの間٩(◦`꒳´◦)۶ オコダヨ!な状態だったらしい。
- 410 :義妹と御狐様:2023/03/11(土) 02:40:23.87 ID:y5pOhdSVs
- まぁ、そう言う人は確かに世の中にそれなりにいるし、子狐様はそう言うのとは真逆な存在だから嫌がるのは仕方ないのかもしれないが、妙に過剰反応する事が義実家の面々が不思議に思ってると。
(*´・ω・)<赤ちゃんも臭い人嫌だよねー(義妹のお腹に向かって)
と、その日最大の爆弾をあっさりと投下してくれたらしい。
後日、義妹夫婦が病院に行った所、妊娠初期も初期で、この時期でよく気付けましたねと言われたそうだ。
本当に久々の書込みで変な所いっぱいあると思うけど、許してね!!
- 411 :義妹と御狐様:2023/04/02(日) 16:38:57.86 ID:wLYwqxwFs
- こんにちは、義兄です。
当時使用していたPCが随分前にご臨終されて、保存していたファイルも一緒に昇天されました。
音声データは無事だったので、現在少しずつ文字起こししています。
音声データは7年前の物がほとんどなので時間軸がおかしいかもしれませんが、あまり気にせずでよろしくお願いします。
- 412 :義妹と御狐様:2023/04/02(日) 16:40:14.96 ID:wLYwqxwFs
- 義母曰く、本当の意味で零感の人間は存在しないらしい。
あくまで例えの話だけど、大多数の人は霊的なモノを視える眼鏡を掛けて生まれてくるので最初はみんな視える人だけど、成長するに従って眼鏡の度が合わなくなって無意識に外したり、何かの拍子で眼鏡がズレてそのままになっているので視えなくなるそうだ。
霊感が強い人と言うのは、眼鏡を正しい位置で掛けた状態で成長した人の事を言うらしい。
よく、霊感が強い人と一緒にいると霊が視えるようになるとか、なったと言う話があるけど、それは眼鏡の存在を思い出して、眼鏡を再び正しい位置で掛けれるようになったかららしい。
- 413 :義妹と御狐様:2023/04/02(日) 16:41:05.17 ID:wLYwqxwFs
- 大多数は眼鏡だけど、少数派の義母や義妹のような人は、目そのものが霊的なモノが見える作りになっているので、視力の衰えで視る力が弱くなる事はあるけど、基本的にずっと視えたままだそうだ。
ちなみに、俺も眼鏡は持ってるけど、本格登山用のでっかいリュックの奥底に仕舞い込み、その上から色んな物を詰め込んだ状態なので何かの拍子で眼鏡が正しい位置に戻ったり、眼鏡の存在を思い出しても簡単には掛けられない状態。
以前、義実家の面々に会わせて貰えた時は、義母がリュックの中身を全部取り出して、フレームが歪みレンズにヒビが入った眼鏡を何とか一時的に修復して使えるようにしてくれたっぽい。
その後、俺の眼鏡は自動的にリュックの奥底に戻ってしまったようだけど!!
- 414 :義妹と御狐様:2023/04/02(日) 16:41:45.21 ID:wLYwqxwFs
- で、長い前置きになったけど、義妹旦那君が実は眼鏡じゃなくて裸眼で視える人だった。
以前、昔はもっと視えてたけど、今はあまり視えなくなったと言う話を聞いていたけど、ニュアンスが違ってたらしい。
今は(サングラスを掛けているような状態なので)あまり視えなくなった、が正解だった。
なんでわざわざサングラス掛けていたかと言うと、負荷を掛けて修行をしていたっぽい。
美蛇の変態襲撃事件の時に、火炎放射器(に相当する物)を使用出来たのも修行のおかげらしい。
- 415 :義妹と御狐様:2023/04/02(日) 16:42:35.02 ID:wLYwqxwFs
- 理由としては、義実家に婿入りするのに最低限何かあった時に自衛出来なければ、嫁(義妹)に守って貰う事になるし、そもそも実家(神社)から許可されないからだった。
小学生で人生決めた旦那君、無事に初志貫徹して今では可愛い三人姉妹のお父さんです。
次に投下出来る時は、義妹の懐妊でハイテンションになった親衛隊の話が出来るように文字起こししたい!
- 416 :739 ◆Al9ki804zA:2023/06/25(日) 14:30:56.97 ID:zTTpWEge0
『「悪魔に理由を与えると尻の毛まで毟り取らされる」という話』
それは二年ほど前の神在祭期間中と、終了後のことだった。
私は来たる北海道旅行を控えた興奮を、家までの往復チャリ爆走することで発散させていた。
そんな帰路の折、私は不意にジブンの周囲に狐塚の気配を覚えた。ジブンが塚の中心で、その周囲を狐の石像が取り囲む、そんな様相。
しかし、その狐像達からは悪意も敵意も害意も無かったため、大したことないと深く気に留めることは無かった。そんなことで一々気に留めようものなら私の健全な日常生活は破綻しかしないのだから。たとえ往路では気配は皆無で、復路でのみ気配を頻発に強めている不可解さがあるとしても、だ。
神在祭期間中のためか、しだらや他の神達の気配は皆無。まぁ、三輪明神や弁天さまはともかくも、今回しだらの気配が皆無なのは草ったが。大方、居座りたいのをゴネたところで呼ばれたならば目下な遣使さんに襟首掴まれて連行されるのがオチ。なお、空いた休日の旅行先を悩んでいたら、ヤツは期間中でも居座り確定な神がおわす神社を推してきたほど。この庇護欲オバケが。
そんなこんなで北海道旅行を迎えて終わり(なお『何もない』ワケが無かったのだが、ソレはまた別の機会に。とりあえず往路の飛行機の座席をしれっと変更させていた件についてしだらには「クソが」と思ってる。マジでクソが)、何事もなく出社して土産を配って仕事して帰路に。その時には狐塚の気配は無く、私自身思い出すことも無かった。
買い物して食事作って風呂準備して録画したアニメを観ながらだらだら食いをしてだらだらネットして風呂入って寝て、起きて飯食って準備して出社して仕事して帰る。同じ日常だ。やはり帰路で狐塚の気配も無ければ、思い出すことも無かった。
- 417 :739 ◆Al9ki804zA:2023/06/25(日) 14:32:50.01 ID:zTTpWEge0
しかし、旅行から帰って三日ほど過ぎた晩のこと。私は就寝後、程なくして寝たまま覚醒した状態に陥った。身体は当然に金縛り状態。意識は自宅空間とは異なる場所へと持って行かれており、眼前にあったのは白木製の一枚板。雰囲気で漠然と、自分は白装束を纏って白木造りの箱にいるのをなんとなく察した。そして、箱の周囲には狐たちの気配がして、それでようやくつい最近まで帰路で狐像達の気配に取り囲まれていたことを思い出す。が、大した感慨は、ない。
分かれた意識で、さてどうしよう、と、思案する。
ぶっちゃけ、眼前に板こそある閉鎖空間だが、その気になればこの程度の金縛りを破って意識を完全覚醒、起床状態に持っていくのは簡単だ。が、休止状態のハードウェアを急激に稼働させる負荷は機械ですら大きいのに、況んや肉体。そして金縛りを破った後の心身疲弊だけでなく、二度寝からの起床し直しによる加算分を考えたら確実性こそ見込めるがコスパが良い行動とも思えなかった。
ならば、このまま棺桶っぽい内部の中でそのまま寝直してしまおう。分かれた意識が完全に閉じれば、この私の分体は自動的に肉体に回収されるだろうし。まぁ、この棺桶っぽい空間は、何やら更に何処ぞの空間へ吸い込まれるように移動しているようなので、其処に到着するまでに完全に寝落ち出来るかは知らんが、考えるのも面倒になっていたので寝落ちしようとした。
すると、収まっていた箱空間からジブンがすり抜け落ちていき、私(の意識分体)は白いお包みの赤ん坊と化して、かつてしだらから意識逃げの際に世話になった餓鬼っぽい相手に大切に抱き留められていた。
「(んな?)」
と思う間もなくその餓鬼っぽいヒトは私を抱えて走っていく。その行き先は、知っていた。私の肉体がある次元に近しい空間だ。
抱き留められていた私は、寝落ちするのも忘れて先程までいただろう白木箱へと意識を向けた。すると、どうやって入り込んだのか疑問に思うのも野暮かもしれないが、私の代わりにしだらがそこに収まっていた。両腕を胸の上で交差させて、目を閉じたしおらしい表情で。
「(お前、そんなタマかよw)」
と軽く草を生やしたら、しだらin白木箱の動きが止まった。どうやら到着したようだった。そこには待っていたらしいナニかがいた。
そしてそのナニは狐たちの気配に囲まれた白木の蓋を開けたようだった。当然、中から出てきたのは、しだら。少なくとも、ニンゲンのオンナでは、ない。
- 418 :739 ◆Al9ki804zA:2023/06/25(日) 14:33:41.19 ID:zTTpWEge0
しだらは何事も無いかのように箱の中から這い出ると、箱に腰掛けてナニに向かって平然フェイスを向ける。
すると、ナニは一瞬だけ慌てふためいた気配を呈したが、すぐさまに怒りを露わにして罵声ならぬ罵念を喚き散らかす。その矛先はしだら、ではなく運び手であろう狐たち。
負の攻撃情念を、たぶん部下に向けた時点で私のナニに対する興味は失せた。このシーン、多少マシなアタマをしているヤツならば、真っ先に責め立てる先はたぶん部下ではなく、闖入者で侵入者たるしだらである。ソレをしないということは、このナニは少なくともしだらより弱く格下なのだろう。荒魂を幾分か私に埋め込んで相当の弱体化をしているはずのヤツよりも、ずっと。
敵わない、敵いたくもない相手ゆえに、部下の失態にすり替え纏め上げソレを叱責することで自身のお咎めを少しでも減らしてもらおうと画策するサマは、人間社会でもよくあるブラック上役の鑑そのもの。
失せた興味のまま、自然に湧き起こってきた眠気にうとうとしていると、しだらが向こうに何か云っていた。その内容は眠気もあってよくわからなかったが、鬼の首を取ったかのような勝ち誇りの様相。一方の云われたナニは内容に怒り心頭のようだったが、反論の様相は皆無で、出来ない反論で更に怒りを募らせ今にも暴発しそうだった、が、そんなのが出来ていたらハナからしだらに負の攻撃感情を向けることが出来ていたので、ただ必死に抑え込んでいる。
その後もしだらは何か云っていたようだが、眠気がMAXになっていたのと肉体のある次元に近い空間まで到着していたので、程なく分かれた意識分体は再睡眠と同時に肉体に戻っていった。
- 419 :739 ◆Al9ki804zA:2023/06/25(日) 14:37:48.16 ID:zTTpWEge0
そして次に気付いた時にはフツーにいつもの朝。
なんとはなしに起き上がって、近くにあったしだらの気配に意識を向けると、ヤツは額にかいた汗を手で拭っていて、いかにも『やり切りました』感を表情と共に出していた。心なしか、その気配はツヤッツヤ。
しだらの雰囲気からは、ナニとその関連に対して武力行使したようではない。そうならば多少なりとも殺伐とした雰囲気が醸し出るのだが、今のヤツから滲み出ているのはなんというか、交渉に成功したソレなのだ。
そんな所感をいだきながらも、
「(あの先方がメタメタな状況から交渉成功って何???)」
と、疑問が思い浮かんだのだが、浮かんだと同時にふとあることを思い出した。それは、鉱物の展示販売会で出展側常連の、経歴が強過ぎる女性が話してくれたソレ。
「私前にね、石を検査に寄越した時に、結果が私の想像と余りに違うものだから検査機関に『なんですか?この結果』って訊いたのよ。それで再検査して貰ったらやっぱり私の想像が正しくて初めの結果が間違っててね。だから『おたくのところは一体どうなっているの?』と事情を聞きに行ったのよ。そしたら向こうの方、ちょうど使わなくなった検査機械があるからくれるって言ったの。でも、そういう機械って重いし大きいでしょ?それを言ったら送料も出してくれるって。向こうから言ってくれた厚意は、無碍にしたら失礼よね。せっかく『くれる』って言ってくれたんだし」
この話を思い出したとき、私は内心で思わず天を仰いだ。
恐らく、しだらがナニに対して行なったのは、こういった類いの『交渉()』なのだろう。
先方の非に付け込んで『落とし前』をそれとなく要求。なんともまぁ、キツネに対するタヌキ返し。
非は向こうに100パーあって調査不足(下調べという概念があれば、少なくとも対他神の策を講じる必要性を覚えたはず)等の手落ちっぷりはどうしようもなさ過ぎるが、流石にミクロンレベルの同情は覚える。
そして思ったのが、
「(…………なんだかんだ、荒事だけでサバイブし切れるほど、神のセカイも甘くねーんだなぁ……)」
ニンゲン側に明確な神という発明概念が生まれる前から叩き上げでニンゲンたちをヘルプしてきた存在は、イロイロと違ぇわ。
- 420 :739 ◆Al9ki804zA:2023/06/25(日) 14:39:09.37 ID:zTTpWEge0
ん?
もし、しだら達が介入しないまま、寝入り切ることもできないまま分体が其処に到着していたらどうするつもりだったんだって?
皆殺し択一ですよ?そんなの。社持ちの神ですら過ぎたやらかしに対して殺害しても特にペナルティが発生しないのは以前の『神を殺した話』の通りだし、仮に今回発生しても私の身の安全最優先&再発防止に務めた行動だと割り切って、ポーズとしてペナルティそのものに一回は殴り掛かるかと。
ああ、
そうなると、ナニどもからしたらしだらは『命の恩神』にも成り得るのか。
そらー、ツヤッツヤになるほどに、相手からいくらでも絞り出させられますわな。
――――――
- 421 :怖かった話:2023/08/12(土) 13:18:24.41 ID:F9gMl7KS0
- この時期になると思い出す(心霊的に)怖かった事
私が14歳の頃、家の裏手にぼんず山って呼ばれてる山があった
家は2階建てで山側の上の方に小窓があったんだけど、2階の自分の部屋でボーっとしてたら
小窓に逆立ちするみたいにベタっとくっついてニヤニヤしてる男の人がいた。
咄嗟に変質者だ!と思ったが小窓の鍵を閉め忘れていたので入ってこられると思い
一階にいた秀子(犬)をつれて家を逃げたが、よく考えみるとなんかおかしい、小窓の上には庇つか突き出した
屋根があるから逆立ちして窓にくっつくには下半身が屋根を突き抜けてなきゃなんない…その時は変質者か泥棒だと
思ってたから秀子を抱っこしたまま家の裏側に回り警察を呼ぶ為に小窓のある方を見たが誰もいない。
ただ秀子がめっちゃ吠える。2階部分を見ながらすげー吠える。
すごく怖かったし、あのニヤニヤ顔が忘れられない。
あの日から私は変なものを見るようになった。
私は自分の精神に異常をきたしたのかと思った(霊感とかないし)
あれ何だったんだろう。
掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50